22.今日の日課20 原子力発電と核融合発電

はじめに

 日課として、その日に気になったテーマについて論文や調べたことをまとめます。
 今日の日課1~19はQiitaのほうで公開しています。

今日の日課

テーマ:原子力発電と核融合発電についてまとめる

1,原子力発電の仕組み
 原子力発電は核分裂反応のエネルギーを利用している。具体的には、ウランやプルトニウムという重い原子にエネルギーを持った粒子(中性子)をぶつけることで核分裂反応を起こす。この時に大きなエネルギーが発生する。このエネルギーは原子核の種類によって異なるが、約1億9千万~5千万ボルトになる。(ウラン235は1グラムで石油2000リットル分のエネルギー)
 原子炉内はゆっくりとした核分裂をさせるために、燃料にウランは3~5%しか含まれていない。
 また、原子炉内の基本的な構造はウランやプルトニウムをペレット状(固形の粒)にした燃料棒、中性子の数を制御する制御棒、核分裂時に発生した中性子を減速させ発生したエネルギーを取り出すための水、緊急時・非常時用の緊急炉冷却装置からなる。ここで、原子力発電は、元となるエネルギーが核分裂反応からきていることを除けば、温めた水を蒸気に変えてタービンを回すことで発電する点は火力発電と同じである。

2,核融合発電の仕組み
 核融合発電では、軽い原子核を持つ重水素と三重水素(トリチウム)で核融合を起こすことで発生する中性子のエネルギーを発電に利用する。この時のエネルギーは1グラムの核融合燃料(DT燃料・Dは重水素、Tは三重水素)で約石油8トン分のエネルギーとなる。
 核融合発電の原子炉内では、重水素Dと三重水素Tを高速でぶつけるために、DとTを1億度以上に加熱する。この時に、DとTはプラズマという状態になる。このプラズマを高密度で長時間封じ込めることで核融合を連続して起こすことができる。

3,核融合発電の種類
 よく知られたほうほうとして、二つの種類がある。一つ目はトカマク型というもので、日本やヨーロッパ、アメリカを中心に研究されている。日本では、2020年にトカマク型の実験装置JT-60SAが茨城県那珂市に日欧共同で建設された。また、フランスにもITER(国際熱核融合実験炉)計画によりトカマク型の核融合炉が建設されている。トカマク型では、発生した中性子をブランケットと呼ばれるBeとLiでできた壁によって熱に変換する。
 二つ目はレーザー核融合方式で球状に固めた燃料カプセルにレーザーパルスを照射することで瞬間的に圧縮して核融合反応を起こす。この方法で、2022年にアメリカの国立研究所がレーザーの1.5倍のエネルギーを取り出すことに成功している。
 しかし、上記二つの方法には問題点もある。トカマク方式では、熱を得るのに必要なブランケットが巨大で約2年で取り換えが必要であること。レーザー方式では、現時点では一日に数回しかレーザー照射が行えないことやトータルでのエネルギーの利得が0.8%で発電に使用するエネルギーのほうが発電されるエネルギーよりも小さいことがあげられる。これらの方法では、実用化に時間がかかり、実用化されるのは早くても2030年半ばとされている。
 最近では、第三の方式が出てきている。それは二つのドーナツ状に封じ込めたプラズマをぶつけることで超高温を実現し核融合を起こすという方式である。実際に、アメリカのベンチャー企業が2024年にこの方式で発電を始めるとしている。この方式は上記の二つの方式よりも優れた部分がいくつかありより早期の実用化が期待されている。

参考資料
(1)第3の核融合発電、2024年にも発電開始へ

(2)米研究所がレーザー核融合の“点火”成功で実用現実味、阪大の技術で加速も

(3)遂に組立完了 世界最大の核融合超伝導トカマク型実験装置JT-60SA~ 今後、初プラズマ着火に向けて始動 ~

(4)先進プラズマ研究開発 JT-60SA計画とは

(5)

(6)先進プラズマ研究開発 誰でも分かる核融合のしくみ | どのようにすれば核融合反応を起こすことができるの?

(7)核融合発電と原子力発電の違い

(8)原子力発電の仕組み

(9)機械工学事典,一般社団法人日本機械学会

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