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よく眠れた朝には 第5話

 一方、町に繰り出した二人はというと、
「タエさん、ん~、タエちゃんでいいかな?」
「はい、ひろみ様。」
「私もひろみちゃんでいいわよ。」
「はい、ひろみ様。」
「ん、もう。ひろみちゃんでいいってば。まあいいっか。」
「その服、慎ちゃんのだよね。」
「そのようでございます。」
「まずはランジェリーから、上着、ズボン一式全部買わないとね。」
「はあ?」

 最初にお店で、ひろみはタエのサイズを測ってもらった。
「細っ!タエさん、すっごく細いのね。めっちゃ、うらやましいわ。」
「でも、皆様、これくらいかと。」
今まで来ていた服は袋に入れてもらって、パンティにブラ、GパンにTシャツ、上着等を購入し、そのまま着用。
「タエちゃん、細いからなんでも似合うわね。」
「いえいえ。」
「さ、次行こっ!」

 今度は靴。
「タエちゃんの足のサイズは21.5。小さいね。」
「あの、草鞋ではないのでしょうか?」
「そんなの履いてる人ないよ。ここまで、このサンダルだったもんね。」
「いきなり、パンプスは難易度高いから、デッキシューズにしとこっか。ジーンズに合うしね。」
「こんなに柔らかく、履き心地の良いものとは。」
「感動した?」
「はい、ひろみ様、ありがとうございます。」
「ふふふ。」

 今度は化粧品。
「ねえ、この子を今風の明るい感じにして欲しいんですけど。」
「そうですね。これなんかいかがですか?」
「じゃ、ちょっと、メイクしてみてくれる。」
「はい、かしこまりました。」
タエはなすがまま、鏡の前に座らされ、不安に感じていた。
「大丈夫、きれいになるだけだからね。」
「はい、ひろみ様。」
2、30分でメイク終了。
「いい感じじゃん。タエちゃん、元がいいから、可愛く仕上がったわね。」
「じゃ、今使ったの全部買うわ。」

「その髪、なんとかしないとだめね。」
「髪ですか?」
「そう、ストレートもいいけど、もっとファッショナブルにしないとね。」
「さあ、美容院行こっ!」
「はあ?」

 着いた美容院はひろみのご用達。
「ねえ、この子、なんとかしてくんない?」
「素材がいいから、どんな風にもできると思います。」
「最近の流行でお願い。」
「わかりました。」
「えっ、髪を切るんですか?」
「タエちゃん、安心していいのよ。慎ちゃんも喜んでくれるから。」
「旦那様が、ですか?」
「そうよ。タエちゃんの旦那様が絶対、喜んでくれるから、大丈夫。」
「わかりました。」

 腰まであった髪はバッサリ肩まで切られ、ロングでウェーブのかかった柔らかな色合いの髪に仕上がった。
「いい感じじゃない。」
「これが私ですか?」
「可愛いじゃん。」
「はあ。」
「よし、何か食べに行こう!」

 スィーツのお店に着くと、
「えっとね、タエちゃんはキャラメルマキアートとこのケーキ。私はこれとこれ。」
「ひろみ様、なにからなにまで本当にお世話になりました。ありがとうございます。」
「よしてよ。好きでやっているだけなんだから。」
「でさぁ、タエちゃんと慎ちゃんの出会いを教えてよ。」
「旦那様が狩りをしに、林の中にやってきたのでございます。」
「慎ちゃんが狩りを?どんなものを狩ってたの?」
「イノシシとか鹿とか、野ウサギなんかを狩っておりました。」
「へえ~、そうなんだ。で?」
「私は林の影から、旦那様の様子をじっと伺っておりました。そしたら、旦那様は火をおこし、魚や肉を焼いて、握り飯を食べはじめたのです。私は、もう数日何も食べてなくて、お腹が減っておりました。そしたら、いきなり、旦那様は私に一緒に食べないかと声をかけたのでございます。私は怖かったので、近寄れなかったのですが、とても優しい声で、おいでと誘ってくれるものですから、つい近寄ってしまいました。」
「でも、タエちゃんは、なんでそんな林の中にいたの?」
「私は両親をお侍に切り殺され、なんとか逃げて一人で林の中で暮らしておりました。女とわかると何をされるかわからないので、いつも顔を泥まみれにして、ぼろを来て、少年のような姿をするようにしておりました。」
「そんな、ひどい。」
ひろみは思わず、タエの身の上に涙した。

「でも、旦那様はそんな人じゃないって、感じがしたんです。ですから、誘って頂いたままに握り飯を頂きました。そのあと、魚や肉までも食べさせて頂きました。」
「タエちゃんは、そんな中で生き抜いていたのね。今なら、ありえないわ。」

「旦那様は言いました。明日、狩りを手伝ってくれるなら、明日の朝も飯を食わしてあげると。私はうれしくなってうなずきました。そして、旦那様のそばで安心して寝ました。」
「よかったね。慎ちゃんは優しいから、絶対、タエちゃんを大事にしてくれるわよ。」

「旦那様は、はじめは私を小僧だと思っていたようでした。そのほうは安心できるのでよかったのです。でも、旦那様が一緒に暮らさないか?と言って下さったのが、本当にうれしかったです。」
「慎ちゃんがそんなこと言ったの。会ってすぐなのに?」
「それは、私がまだ小僧だと思ったからのようです。」
「そっか。そうだよね。慎ちゃん、そういうとこ、あるある。」

「でも、町について、私が女だとわかると、かなり困っておられました。町の人からもこのまま夫婦になったらいいと言って下さったのですが、旦那様は同居するだけだからと言いました。」
「同棲でしょ?」
「いいえ、私は同居人です。それでも、本当にうれしかった。あんな林の生活から、ちゃんとした家で、ごはんも食べさせて頂いて、私は精一杯、旦那様のお世話をしようと思いました。」
「泣けるわ。タエちゃん、優しいねぇ。」

「それから、3年が経ち、旦那様から夫婦になろうと言われました。私は、本当にうれしかった。」
「3年経って20歳でしょ?ということは、出会った時は17歳の時?JKじゃん。でも、おめでとう。」
「ありがとうございます。」

 その頃、オレは自分の痕跡を探していた。いったい、オレはどこで働いていたんだろう。日栄商事じゃなかったのか。じゃぁ、どこに勤めているんだろうか?会社のカバンに入っていた名刺入れには確かに日栄商事って、なっている。だけど、電話しても違うと言われる、聞き覚えのある先輩の声もオレを知らないという。

 これは多分、オレが歴史を変えてしまったことに由来するのだ。過去でなにかやらかして、未来の今が変わってしまったんだ。よくあるタイムスリップものでも、言っていたじゃないか。オレはいったいどこに勤めていることになっているんだろう。

 その時、オレの携帯がなった。取ってみると加藤先輩だった。
「びっくりした?驚いた?」
「えっ、もしかして?」
「かなりリアルだったろ?」
「まいったなぁ。本当にオレ、頭どうかしちゃったんかと思いましたよ。」
「いや~、ワリ~。お前が無断欠勤するから、懲らしめてやろうということになってよ。」
「そういうことだったんですか。すみません。」
「まあ、明日からでいいから出て来いよ。」
「はい、すみませんでした。」

 ほっとした。よかったぁ~。マジでどうしようかと思ったわ。タエたちが帰ってくるまでに、オレは冷蔵庫の食材を確認して、当面の間、間に合う食材の調達に向かった。パントリーにも貯蔵しておけるものも必要だ。いろいろ、買い込んでこようっと。

 タエはひろみにいろんなことを聞いていた。ひろみは状況がわかっているので、かなり丁寧に教えてくれていた。
「ただいま。」
「お帰り。どうだった?たくさん買ってきたかな?」
「じゃ、じゃ~ん。どう?」
タエはものの見事に変身していた。今風の女の子だ。とっても可愛いじゃん。
「さずが、ひろみだね。ありがとう。」
「タエ、とっても素敵だよ。」
「でしょう。私が手掛けるとこんなもんよ。」
「ひろみ様はとっても優しいお方なのですね。とても丁寧にいろんなことを教えて頂きました。」
「ひろみ、助かったよ。んで、会社にも連絡とれて、明日からいくことになった。」
「そうなの?私も明日はお手伝いちょっと無理だから、タエちゃん一人になるよ。」
「大丈夫です。任せてください。」
「だけど、タエちゃん、慎ちゃんのこと、とっても好きみたいだから、大切にしなきゃだめよ。」
「わかっているよ。もう、3年も一緒に住んでいるんだからね。」

「じゃ、そろそろ用事があるから、私、帰るわね。」
「ありがとうね。あっ、お金大丈夫だった?」
「全然足りひんかった。でも、お祝いということで。今回は、いいわ。」
「すまんな。ありがとう。」
「ひろみ様、本当にありがとうございました。」
「じゃ、またね。」

 ひろみが帰って、オレとタエの二人きりになった。タエは本当に嬉しそうに、ひろみとのショッピングについて、オレに話してくれた。

 あのボロボロの着物は、もう用済みだから捨ててしまおうと言うと、タエがこう言った。
「あの着物には、お金を縫い込んでおきましたゆえ、捨ててしまう前に取り出さないと。」
「そうなんだ。いくら縫い込んでおいたんだ?」
「旦那様の着物には3両、私のに2両。合わせて5両になります。」
な、な、なんと、そんなにあるのか!出てきたのは1両小判5枚。ネットで価値を調べたら、安政小判だったので、1枚50万円ほどの買い取りになりそうだった。それが5枚だから、250万円になる。

 オレはタエを抱きしめて、こう言った。
「さすがはタエだ。本当にありがとう。」
「いえ、旦那様のお金でございますので、このように蓄えておりました。」
「本当にタエは誠実で、優しいし、可愛らしい。オレは素晴らしい嫁と一緒になったとつくづく思うよ。ありがとう。」
「そんなにお褒めにならなくてもいいです。でも、ありがとうございます。」
タエは少し赤面していた。

「この時代のオレの名前は、山本慎二という。だから、タエは山本多恵だ。」
そう言って、オレは紙にボールペンで名前を書いてあげた。
「苗字があるんですか?」
「そうだ。この時代はみんな苗字がある。だから、山本多恵だ。」
「やまもと たえ」
「今日から、おまえの名前だ。よく覚えておいてくれ。」
「承知しました。」

 なんか、苗字があることに、多恵はとても嬉しそうだった。墨と筆ではなく、何度も、紙にボールペンで、オレが書いた字を練習していた。教育なんてうけてこなかった多恵は、字をあまり知らない。オレはしっかり教えていこうと思った。ちゃんと、興味を持って勉強するだろうか?

 しかし、服装は多恵に、よく似合っている。ひろみのコーディネイトもなかなかセンスがいいもんだ。ジーンズを履いているので、足がすっごく細く見えてカッコいい。また、明るい感じの化粧もいいし、髪型だってすごくいい。つくづく、ひろみのセンスに感心した。

 オレが、多恵にすごく似合っているし、素敵だと言うと、多恵は嬉しそうだった。やはり、女の子はこういうことが嬉しいんだろう。多恵はこの動きやすい服装がとても気に入ったようだった。着物をなんども継ぎはぎして、ぼろぼろになっても着回していた、あの頃とは大違いだ。

 多恵は靴についても、嬉しそうに話した。なんせ、藁で編んだ草鞋しかないような時代だったから、あんなに柔らかいデッキシューズは夢のようなんだろう。ひろみが上下のジャージを買っておいてくれたので、多恵に着てみるよう言うと、その着心地にとてもびっくりしていた。これが部屋着、つまり、部屋でくつろぐ時に着る服だということを説明すると、すでにひろみから聞いており、ちゃんと理解していた。

 多恵は、今日一日でとてつもない量の知識を教えられたのだ。たぶん、オレでは消化しきれないと思う。それに初めてのことが多いため、理解することもままならない状況だったに違いない。たぶん、オレでは1割も理解できていないと思う。それを多恵はものの見事に、ちゃんと理解していた。なんという吸収力なのだ。多恵は教えてもらえるということに喜びを感じていたのだろう。

 オレはその晩、多恵と一緒に晩御飯を作ることにした。ご飯は簡単だ。お米を洗って、炊飯器にセットするだけ。おかずはどうしようかと思ったが、多恵にいろんな味を楽しんでもらおうと思って、ハンバーグにした。一から作るんじゃなく、買ってきたハンバーグを焼くだけだけどね。それにミートソースに絡めて、ハイ出来上がりってやつだ。あとは、温野菜を添えて、簡単、晩御飯の出来上がりだ。

「今日は朝から初めて頂くものばかりで、多恵はとてもうれしく思っております。」
「よかったね。ひろみと何を食べてきたんだい?」
「キャラメルマキアートという甘い飲み物と甘いショートケーキです。」
「それはよかった。」
「この食べ物は何と言うものでしょうか?」
「ミートソースのハンバーグと温野菜添えってところかな。」
「とても美味しそうな匂いがします。」
「じゃ、食べてみようか?」
「はい。」

 まあ、自分で作ったものではなく、市販のハンバーグだし、市販のソースだから、それなりの味のはずだ。
「味わったことのない味です。とてもおいしいです。」
「よかったぁ。まずかったらどうしようかと思ったよ。」
「いえいえ、でも、今の世の人々は毎日このような食事をされているのでしょうか?」
「その通りだよ。オレらがいたあの頃の食事からしたら、雲泥の差だね。」
「未来とは、こんなよくなっていたんですね。」

 多恵は少し涙ぐんでいた。そりゃ、そうだよな。食べることに必死になっていたあの時代を考えれば、飢えるなんてことはほぼない世界だもんな。食事が終わって、食後の後片付けだが、ここでも多恵には驚くことがあった。

「こんなに多量の水を使って大丈夫なのでしょうか?」
「今はあの時と違って、少量の水で洗うなんてことはなく、このようにレバーを操作することでいくらでも水が使えるんだ。」
「この水、とてもきれいに思いますが。」
「そうだよ。ちゃんときれいにするからくりがあって、誰が飲んでも大丈夫なようにしてあるんだ。」
「これも進歩なのでしょうか?」
「そうだよ。未来はいろんなことで進歩しているんだ。」
多恵は本当に感心しきりだった。

「人というのは、いろんなことを考え、勉強してどんどん便利なものを作ってゆくのですね。」
「でも、いいことだけではないんだ。悪いことだってある。」
「それは、どのようなことでしょうか?」
「例えば、からだに悪い、未知の毒を知らず知らずのうちに、からだに取り込んで病気になって死んでいくこともある。そういったものに気付き、改善していくことで今の生活が成り立っているんだ。」
「進歩の過程でいろんな犠牲があったのですね。」
多恵の知識欲はものすごい。もしかすると、オレが教えてもらわないといけないことも出てくるかも知れない。

 オレは明日、仕事に出かけることを多恵に告げた。でも、2,3日家を空けるのではなく、その日のうちに帰ってくると言った。多恵が暇にならないよう、テレビのことも教えた。多恵はまだ、文字が分からない。今度は文字を教えよう。その日、多恵はオレの腕枕で、オレにくっついて寝た。

 翌朝、オレは多恵を自宅に残して、会社へ行った。
「すみません。ご迷惑をおかけしました。」
「おう、やっと来たか。」
「先輩、すみません。」
「まあ、その分、しっかり働いてもらうぞ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ああ、とても懐かしいこの感じ。
昔はこんなんだったよな。って、昔じゃなくて、今は、だな。

 その日、オレは先輩と営業の一日だった。昼休みに食事をしている時に、先輩につっこまれた。
「いったい、なんで休んでたんだ?」
オレは迷った。真実を話しても分かってもらえるのだろうか。ひろみは実際に多恵に会って、いろんな話を聞いて真実だと分かってもらえたが、この先輩は信じてもらえるのだろうか?

「先輩、その話は長くなるので、今晩とでかいいですか?」
「わかった。じゃ、今晩な。」
会社帰りにオレは先輩と茶店に寄った。そこで、オレに起こった出来事を話してみようと思った。
「たぶん、先輩には信じられない話になるかと思います。」
「つくり話、ちゃうやろな?」
「いいえ、これからオレが話すことは、すべて真実です。」
「わかった。おまえがそこまでいうなら、最後まで話を聞いてやる。」
別に聞かんでもいいんだけどね。

「オレ、3年ほど過去にタイムスリップしてました。」
「はぁ?」
「やはり、無理のようですね。」
「いきなり、そんな話、信じられるかよ。」
「だから、最初にすべて真実だと言いましたよね。」
「だからと言って、最初からそんな突拍子もない話なんか。」
「オレはその3年の間に、過去の女性と結婚して、その女性も一緒にこの世界にタイムスリップしています。」
「まさか。」
「いえ、本当です。じゃぁ、これからオレんちに来てもらえますか?」
「別にかまわないけど、ほんとかよ?」
ということで、先輩を連れて、オレの家に帰った。

 玄関を開けると、多恵はすぐに出てきて、正座をし、
「旦那様、お帰りなさい。」
と、深々と頭をさげた。普通こんな子、いないよな。
「お客様ですか?」
「そうだ。一緒に働いている加藤さんだ。」
「でわ、こちらのスリッパをお履き下さい。」
さすがの先輩もあっけにとられていた。

「ああ、どうも。」
「おい、山本、ものすごく可愛い子やないか。本当に結婚しているのか?」
「さようです。旦那様の妻、多恵と申します。」
「過去って言ったな。いつ頃なんだ?」
「オレも詳しくはわからないんですが、恐らく160年前だと思います。」
「って、ことは江戸時代?」
「さようにございます。」
「多恵、あの着物を持ってきてくれるか?」
「はい、すぐに。」
そういって、持ってきたのはすっかりきれいになった着物だった。

「あれ?洗ったの?」
「はい、洗濯機なるもので、洗ってみました。手で洗うより、きれいになりました。」
「そうか。先輩、これが、オレたちが来ていた着物です。」
すっかり、きれいになった着物だが、継ぎはぎだらけは変わっていない。
「こんなものを着てたのか。」

 オレは当時の話を長々と、先輩に聞かせた。多恵も自分の話をし、今はこちらの世界の恰好をしているのだと言った。長いこと、黙って聞いていた先輩がようやく口を開いた。
「どうやら、本当のことのようだということは分かった。」
「よかったです。先輩に分かってもらって。」
「だけど、多恵さんをどうするんだ?」
「戸籍もなければ、住民票もないんだぞ。婚姻届出せるのか?」
「それは調べてみます。」
「多恵さんも、この未来に来て不安じゃないのか?」
「いいえ、大丈夫でございます。旦那様がおりますので。それにひろみ様も。」
「ひろみというのはオレの大学の同級生。昨日、多恵の面倒を見てもらったんだ。」
「そうか。でも、覚えること多くて大変じゃない?」
「それも大丈夫でございます。」
「ものすごく勉強熱心なので、一回で覚えてしまうんだ。」
「それじゃ、この未来の人間になろうと頑張ってるんだな。」
「な、山本。オレに何か頼みたいことがあれば、何でも言ってくれ。オレは味方になるよ。」
「先輩、恩に着ます。」

(つづく)

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