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五意達者 Vol.20(竹中大工道具館)

五意達者とは江戸時代初期の大工の指南書「匠明」に「五意達者にして
昼夜不怠」という心得が「門記集」「社記集」「塔記集」「堂記集」「殿屋集」の5巻のうち「塔記集」の巻末に「右此一部 五 巻者 達者 ニ シテ 昼夜二 不 レ 怠 …」と記されていた言葉。
五意とは
一、 式尺の墨𨦈 (設計・墨付け)
二、 算合    (積算)    
三、 手仕事   (加工作業)
四、 絵様    (装飾の下絵)
五、 彫物    (彫刻)
この五つの技能を極めてこそ一流の大工
大工の棟梁に必要な技術と、知識がそろって名工と呼ばれるのであろう。
今ならば、設計から施工管理、そして施工まで多能工的な技術者であろう。


五意達者

この五意達者という言葉を知ったのは、新神戸駅前の竹中大工道具館

新幹線の改札を出て地下鉄の反対、大阪側に出ると約7分ほど、もう新神戸駅の隣と言っていいような場所にある大工道具の博物館で、毎年、新入社員の現場監督を研修で引率している。

地下1階の常設展示では、縄文時代の石斧から弥生時代の金属製の道具の進化の過程を明治までの大工道具で分かりやすく展示されている。

また、松崎天神縁起という絵巻で建築中の様子が展示されタッチパネルで解説が聞ける。

江戸時代のころの道具になるとだいぶ馴染みのある型の大工道具が並び特に鉋の数が圧巻である。さらに進むと唐招提寺のレプリカのパーツが並び、中央吹き抜けには実物大の柱から軒の1スパンがそびえたっています。



柱のレプリカ

このような展示と、墨付けや、指矩を使って丸太の中心を出す方法や、一番大きな角材をとるための使い方の体験ができるコーナーや、地下2階に降りると数種の樹種の鉋屑と原木で気の香りの違いを体験できたり、事前申し込みでいろいろな木工品を作る体験工房などもそろっている。(夏休みは、子供向けのコマ作りなど)

建築に携わる方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう。
館内見学の所要時間は真剣に見たら2時間以上になるかと思います。


墨壷

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