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【読書と私】⑥森絵都/『出会いなおし』を楽しみたい作品たち

最初に読んだ森絵都さんの小説は『みかづき』。
本来はそれを再読して記事を書きたいと思っていた。

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『みかづき』は、なかなかの厚さで読み応えがあった覚えがある。
本職ではない用務員の男性が、教える才があり、放課後に勉強を教えるところから始まって、縁から塾で教えることになる。個人塾、大手塾等も含めて、「子どもの勉強を支える」状況と、結婚、出産、子の世代になっての話が交差して、教育のことでこんな風に小説が描けるんだという感嘆と、家族のことが壮大な大河ドラマのようにも感じた。
ちなみに、他の小説でも見かけることのある寺子屋のような場面って、教えるものと教わるものの距離が近くて、その交流がわたし的に好きな場面となることが多い。

書店で文庫本を手にしてめくって、なぜか今の自分の気分、嗜好的に再読し難い気持ちがした。GWのそわそわした気分では駄目そう、お正月に腰を据えて読むのが良さそうだ。
そこで選んだ『出会いなおし』。短編集である。気張らずに読めそう。

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そうそう、この感じ。すっと入ってきて、どこか軽快なところがある文章。
『みかづき』の方は、むしろいぶし銀のような感じだった(気がする)

じっくり登場人物に寄り添っていく長編もいいけど、短編はまた、身近で多様な人々に触れられる気がしてよい。

何篇か読みすすんだところで、ちょっと休憩。

noteを彷徨っていると、
この記事に出会ってしまった。⤵ (引用させていただきます)

『つきのふね』が紹介されている。表紙が素敵で読みたくなってしまった。
Kindleでお手軽に購入、すぐに読める。
『出会いなおし』は一時中断。

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『つきのふね』読みだしたら、端から以前読んだ『カラフル』を思い出す。そうそうこれこれ、内容的には結構、ハードな部分があるのに、軽妙洒脱な文章で物語がすすんでいく。ヤングアダルト(YA)向けのもののようだが、大人になった自分が読んで全然問題ない。というか、その年代の自分に連れ去られていくような気がする。

小説を電子書籍で読むのは、若干抵抗感のあった私ですが、YAは電子書籍で読むでしょ、それに見合ったもののはずと、読み終えるまでの目安時間表示には若干イラつきを覚えながらも、さらさらっと読み進んでいった。

面白かった。

さて、『出会いなおし』に戻ろう。。。

 
 *    *    *

『出会いなおし』読みだしてから早々に感じていたのですが、私、
これ、読んだことある…

「出会いなおし」って言葉は好きなことばだけど、唯一無二なものではなかったからか、小説に比べて、エッセイや短編集の表題ってそれほど気にしてなかったか、やってしまった感はあるが、再読問題ない。

ただ、まさに「出会いなおし」してる私…

  読んだ自覚があるから「出会いなおし」で、
  自覚もなくなってしまったら、“デジャヴ”を
  巻き起こしているわ私…

『つきのふね』同様、『出会いなおし』の六編の中にも、その年齢辺りの自分に連れてってくれる作品がある。
出会いなおしさせてくれる作品たちよ
切なやさしく、ほろ苦い思いに触れさせてくれてありがとう。

私が読んでいて、認識している範囲で、一番年齢が近い作家の 森絵都さん
だからか時代、世界が共有共感しやすいのかもしれない。自分が子どもの時に親しんだ「椋鳩十」児童文学賞を受賞されているのも何かうれしい。

『みかづき』ゆっくりと、出会いなおしますね。

        『出会いなおし』森絵都2020
                            『つきのふね』1998

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