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2024年度一橋大学ロースクール入試の面接を再現してみた!



はじめに

サイトヘッドです!つい先日(2023年12月22日)一橋大学のロースクールに合格いたしました!

はい、ちゃんと合格してるでしょ、拾い画像でもないからね笑笑


一橋のロー志望の方はご存じであると思いますが、一橋のロー入試は三次選抜まで行われ、国立ローの中でも発表がかなり遅いまあメンタルに来るロースクールではないかと思います笑
冗談はさておき、今回の記事ではロースクールでは珍しい面接試験を課してくる一橋について私が体験した実際の面接のやり取りを再現してみるとともに、一橋が課してくる質問は何か、ということについてある程度の解説をしていきたいと思います。一橋の面接は二次選抜の合格者数にもよりますが、10人弱は落とされる怖い側面もあります。私の完全記事通りの質問が出るとは限りませんし、アドリブ質問もあるかと思いますが、概ねの質問対策はできると思います。わざわざお金をかけて予備校の三次面接対策講座を受ける必要はないです

一橋の質問の傾向・一定の対策

其の壱 王道質問の傾向

ではまず、一橋が何を聞いてくるかについて言及していきたいと思います。質問の多くはいわゆる王道のものです。
①法科大学院を志望した理由
これはどのローでも聞かれることではあると思います。司法試験の受験資格を手に入れるためには予備試験と法科大学院という二つのルートがあるのは皆さんご存じだと思いますが、そのなかで予備ルートを選択しなかったのはなぜなのか、という意図が隠されているということになりますね。予備にはない法科大学院のメリットを探し、これを回答に盛り込みましょう。例えば法律の知識のみならず、実務家としてのありかたを学べる、交渉術や相談の乗り方を学べるなどが私の想定した回答でしたね。

②一橋のロースクールを志望した理由
これもどのローでも聞かれることではないでしょうか。これの対策は簡単でしょう。一橋の法科大学院のwebサイトなどから一橋の特徴を探し出し、これを回答に盛り込むのが無難でしょう。恐らく受験者の多くが答えているのが、ビジネス・ローコースの存在ではないでしょうか。自身が考えている法曹像と絡めながら書いていきましょう。そしてもう一つの特徴は少人数教育が挙げられると思います。この二つの要素を用いながら自分なりの想定回答を作ってみてください。

③予備試験の受験経験・受ける予定の有無
当然聞かれます。国立とはいえ、一応学校経営はやらなければなりませんから、予備抜けウェーイをされるとちょっと困るという事情はあるのでしょう。とはいえあまりにも法科大学院をないがしろにしたような発言さえしなければ評価に影響することはほぼない質問でありましょう。

④将来の法曹像はなにか
どのローでも聞かれることです。ですが、ここは一橋に絞ってこんな回答をした方が良いのではないか、という自分なりの雑感を述べておきましょう。一橋大学は旧三商大学と呼ばれるだけあって、商業の学校でした。ですので、経済学部や商学部を売りとしています。このため、法学部も商業や経済に関わる者を育てる傾向が強く、企業法務に強い法曹を輩出してきております。このため、将来の法曹像は企業法務(ウソでも構いませんので、辻褄だけは合わせてください。)に携わる者と答えた方が良いでしょう。加えて、一橋のモットーとしては「共助の精神」が挙げられます。即ち共に助け合い、教員・学生関係なく切磋琢磨する精神のことです。あなたが思う共助の精神を有した法曹像について答えてゆけば良いと思われます。(共助の精神というワードは直接は出さず、これを連想させるような答えを作りましょう。)

⑤ステメンの記述(特にアピールポイントとした部分の掘り下げ)
ここに関してはあまり書くことはありません。自分がステメンに書いたアピールポイントはなんであったかは必ず覚えておきましょう。それにつき掘り下げられた際に答えに詰まることが無ければ基本的に大丈夫だと思います。

其の弐 一橋独自の質問

一橋大学はいろいろと特殊な学校です。このため、王道の質問のみならず、変わった質問も毎年出してきます。以下これについて述べていきましょう。

①あなたが一橋大学法科大学院に入った際に他の学生に貢献できる能力はあるのか。
非常に面倒な質問だと思います。初見でこれを聞かれてスラスラと答えられる人なんて受験生に限らずいないのではないのでしょうか。どのような答えが求められるのか一応の指針だけ解説してゆきましょう。他の学生に貢献できる、ということに求められるのは、一橋のモットー「共助の精神」に関わる能力であると考えられます。即ち切磋琢磨できるとか、他の学生の勉学に貢献するためにどんな能力を有しているかという回答です。ですので、ゼミや授業で積極的に発言する、とか自主ゼミ運営をした経験を活かし、他の学生を纏められる・・・などが方向性として挙げられるのではないでしょうか。もし自分にそんな能力があるエピソードがあるならそれをフルに活用して答えを作ってみましょう!

②移民や難民が増えている昨今、法曹に求められる能力はなにかor国際化が進んでいる昨今、法曹が果たせる役割において必要な能力はなにか
これはTOEICを入試の選考要件に含めている一橋ならではの質問ですね。一橋は全て英語で行われる授業などもあることから、国際的な視野を有した法曹教育を施そうとしていることが読み取れます。どんなことを答えればいいんだよ、と思われるかもしれませんが、そこまで難しく考えなくて大丈夫です。どちらの質問が飛んできたとしても共通するのは国際化、という事柄です。法曹という職業人の使命は法律を用いて様々な社会問題を解決することです。国際化が進めば、諸外国や外国人などの抱える問題が日本にも影響を与えるでしょうから、これを解決するにあたって必要な力は言語能力は当然の前提として時事能力も必要と言えるでしょう。ただ、単にニュースや新聞を読んで情報収集をすれば良いということではなく、そこから読み取れるバックグラウンドなどを如何に抽出するかという読解力、法曹として当然有さなければならない感情論を排除したバイアスの無い視点なども必要となるのではないでしょうか。これは私が想定した答えではありますが、参考程度に留めておいてください。

実際の再現

其の壱 補足情報

では実際の面接のやり取りを再現してみたいと思います!面接官は主査と副査の二人で構成されております。私の場合は若手の教員が主査で、恐らく教授であろう初老のおじさん教員が副査でした。以下私の事はサイトヘッドのサ、主査は主、副査は副、として書いていきますね!ここが重要ポイントだと思う部分は太線にします。再現ですので会話口調で書きますし、緊張で日本語が色々おかしいですが、ご容赦ください。

其の弐 再現

 (部屋のドアが副査によって開けられる)では、準備ができましたので、入室してください。
 失礼いたします。本日はよろしくお願いいたします!
 では受験票を出してください。
 (受験票ガサゴソ、見つけて手渡す。)
 受験番号〇〇〇〇、サイトヘッドさん(実際は本名です。)でお間違い      ないですね?
 はい。
 では、荷物はこちらの机に置いて、着席してください。(サイトヘッド、荷物を置き、着席)
 では、これから面接試験を開始いたします、よろしくお願いします。
 はい、よろしくお願いいたします。
 では早速質問の方に移らせていきたいと思います。サイトヘッドさんが法科大学院の教育を受けたいと思った理由をお聞かせ願えますか?
 はい、法科大学院には、法律の知識を深化させることは勿論のこと、えー、法曹の独自のスキル、えっと即ち、クライアントとの相談や、えー、他の法曹との交渉術などを学べると思ったからです。実務家となった時に必要となるスキルが学べると思いました。ローにはエクスターンシップやなんだっけ、リーガルクリニックなどのカリキュラムでしたっけ、これらがありますよね?確かに予備試験の最大のメリットは司法試験の受験資格や法曹資格を早めに得ることだと思うんですけど、こういった実務についてはあまり学ぶ機会がないんではないか、って思いますね。
 なるほど、実務について色々学べることが法科大学院に来る理由だと。しかし、予備試験ルートを使ったとしても司法修習で実務は学べると思うんですけれども、これについてもう一歩踏み込んでいただけますか?
 確かにそうですね(しまった!)・・・しかし私は器用な方ではなく、何事にも時間がかかる部類なので、実務を大学院でじっくり学びたいという風に感じました。
 なるほど、わかりました。では次の質問です。あなたが数ある法科大学院の中で一橋を選んだ理由をお聞かせ願えますか?
 私が一橋に行こうと考えたまず一つ目の特徴は、少人数教育です。少人数教育であれば、えと、教員と学生の距離が近く、疑問点を早めに教員に聞くことで解決できること、えー、そして、少人数によって学生との連帯感が強まり、だから、切磋琢磨できる環境にあることにあると思います。二つ目は一橋にはビジネス・ローコースがありますよね。私は、法曹のキャリアの「一環」(なぜ「」をつけたかは後でわかります。)として、企業法務に携わりたい、と考えておりまして、えー、そのコースでは企業法務について専門的な知識、スキルを学べる、えー、という風に思いました。これは私のキャリアの「一環」とすることにとても役立つと考えました!北大にも院があります。えー、北大も良い所なんですよ!悪く言うつもりはないんですよね!(なぜか焦る、出身校だから北大を当て馬にしたくなかったんでしょうね・・・。)ですけど、先輩や、友人の話を聞いていると、えー、地元志向の強い、えー、地域司法に造詣のある法曹人を輩出する傾向が強いなって印象を受けまして・・・、私は出身は関西、大学は北海道、そして院は東京に来るなど、一つ所に収まらない性格なんですよね。えー、ですので私は一つの地域だけではなく、えー、国内全体やひいては海外にも目を向けたい、ですのでキャリアの「一環」として企業法務をやりたいと、いう風に感じました。ですので、えー貴院を選択しました。
 (しばらく副査とともにメモをカリカリ)なるほど、ではあなたの将来の法曹像は企業法務をやりたいということでよろしいですか?
 はい、そうです。
 先程から気になっているのですが、あなたはキャリアの「一環」として企業法務に携わりたい、とおっしゃっていますが、生涯を企業法務に捧げるつもりはない、ということでよろしいですか?なにか他にやりたいことがあるかのように見受けられるのですが?
 (キタキタキタキタ、やっぱりここに食いついたで!!オレの誘導にしっかり釣られてくれた!)えー、企業法務を、やることは、前提、これは前提なんですけども!えー、やりたいことが多すぎてっていうこともあるんですが、えー、企業法務で一定のキャリアを積んだら学問府に戻りたいです!あ、いや研究者になるつもりはないんです!実務家教員として戻りたいんですよね!なぜかというと、私は大学時代、友人や先生にとてもお世話になりました。二人ともすごく勉強を教えてくれたんですよね。私は散々人に世話になってしまったので、今度は自分の番だと、後進を育てていきたい、っていう風に考えたんですよね!(ここを太字にしたのはこの回答が「共助の精神」を意識したものだからです。皆さんは自分なりに考えてくださいね。)
 (私が捲し立てたせいでメモが追いついていない。副査と一緒にしばらくの間メモをカリカリ)なるほど、わかりました。では次の質問です。あなたは予備試験を受けたことはありますか?
 恥ずかしながら、ないです。
 そうですか。今後受ける予定などはありますか?
 正直言うとわからない、というのが正確ですね。えー、というのは、まあ、自分は先にローに飛び級で行った友人からローの勉強は大変である、という話は常々聞いておりまして・・・、予備試験の勉強との両立ができるのかなあ、と。でも経験として受けてみたいという気持ちもありますね。
主 おっしゃられるように、ローにはローの勉強があります。ローの勉強も大変なのも事実かもしれません。ですがその上で、もしサイトヘッドさんが予備を受けようと考えられた時に二つの勉強を両立させようとするにはどうすればよいとお考えですか?
 (は?一橋の課題の量とか知らねえのにわかるわけないやんw)えー、そうですねえ・・・(少し引き延ばす)タイムスケジュールの管理が重要となるのではないでしょうか。ここまでの時間でローの勉強のノルマをこなし・・・、余った時間で予備の勉強をやる、ということでしょうか。
 タイムスケジュール管理、ですか。なるほど、では予備試験の勉強は具体的にどのように進めたいとお考えですか?
 (もうやだ、この質問、早く次行けよ・・・)恐らく、自主ゼミなどを組んで勉強するのではないでしょうか・・・。
 なるほど。では次です。あなたが一橋大学法科大学院に入学することで他の学生に貢献できる能力は何であるとお考えですか?
 (マジで聞くんやな、これ)ゼミや授業で積極的に発言するということだけにとどまらず、えー、初対面の人に対しても気兼ねなく接することができることが挙げられます。根拠としましては、私が三年次に所属していたゼミが民事訴訟法のゼミでして、まあ、模擬裁判やったんですよ。その中で原被告と裁判所のチーム分かれたわけですね。その中で原告のチームになったわけですが、まあみんなはじめましてみたいな感じだったんですよ。その中で私は主導して連絡を取り合い、プライベートとかでも交流とかすることでチームワークを形成して、如何に模擬裁判を有利に進めるかを頑張って考えるように努めた結果、優勢に終わらせることができた、という体験が挙げられるんじゃないかと・・・。
 なるほど、わかりました。では次にかなり雰囲気の変わる質問となるのですが、昨今日本では移民や難民が増加しているというのは、知っておりますね?このような状況に対し、法曹がその役割を果たすためにいかなる能力を有するべきでしょうか?
 (本日二度目のマジで聞くんやな、これ)はい、えー、まず言語能力が大前提となると思います。ですが、ですが!(通販番組の宣伝かよ)言語能力だけでは足りなくて、グローバル化っていうのは地球規模で人が動き回るってことですよね。即ち移民難民ってなると、えー、言語が違う、そして文化圏の違うところ出身、みたいなことになるわけじゃないですか。んで、法曹の使命というのは、法律の知識を用いて社会問題を解決するという点にありますよね。ということで、法曹に必要となる能力としましては、絶え間ない社会に対する問題意識を保持することとともに・・・移民や難民などのバックグラウンドに対する理解、即ち彼らにどのような背景があって日本に来ているのか、えー、こういう問題につきしっかりと情報収集をし・・・ニュースや新聞が主になると思うんですけど、これに加えてこういったメディアの情報を鵜呑みにしないこと・・・。つまり、情報収集能力も必要となりますし、これらの背景事情を読み取る力、そして法曹としてできる限りバイアスを排除した中立的な客観的な視点を常に有するという能力が必要となると私は考えます。
 わかりました。では今おっしゃられた回答は、企業法務を行うにあたって相違点などはあるとお考えですか?つまり、企業法務でその能力はどのように生かせるということになるんでしょうか?
 はい。確かに、企業法務に携わる場合、移民・難民に直接携わることは無いでしょう。ですが、えー、特に東京には大企業が多いですよね?大企業って往々にして海外にも拠点を有していて・・・、そこから海外の企業と取引やらを行っているわけじゃないですか。こういう場合だと、取引って刻々と事情が変わるものだと思いますけど、国際問題が発生したら一気に変動が起こりますよね。こういった国際事情を注視する能力というのは先程答えた能力と通ずる部分は大きいと思います。
 わかりました。では私の方からは以上ということにさせていただきます。(副査の方を向いて)先生の方からは何か聞きたいことはありますか?
 えー、では私の方から一つ。サイトヘッドさんは自己推薦書に論証力が高い、ということをお書きになっていたようですけど、論証力とは何を念頭に置かれていますか?
 論証力・・・ですか。うーん、先生の受け売りとなってしまいますけど、論証力とはいかに相手を納得させるか、説得的な文章を書くか、ということを前提に、念頭に置いております。
 ほうほう、ではその論証力を上げるのにはどうすればよいか、その点についてはどのようにお考えでしょうか?
サ 論証力を上げたのが・・・えー多分民事訴訟法の模擬裁判のゼミの話だったと思うんですけれども、その際も訴状や答弁書とか書くじゃないですか。んで、それを担当教員に提出するんですけれども、散々書き直しを指示されたんですよね。それに限らず、まあ院試対策の答案、論述式ですよね、それもかなりの数を見てもらったんですが、それを通して自分の論述が良くなっていったっていう経緯がありました・・・。即ち、自分で書き、その論述を、まあ教授陣はその道のプロですよね、プロに見てもらって、その都度足りない部分を直してゆき、また書くと。これが論証力を上げる道だと私は考えております。
 なるほどね。では、あなたの論証力が高いということを具体的に示すものはなにかありますか?
 (!?!?!?!?)具体的な何か・・・・ですか??
 はい、なにかありますか?
 (本気で腕組みして頭を傾げる。)うーん・・・・うーん・・・・具体的な何か・・・具体的な・・・・。ちょ・・・うーん・・・・・・・・。(ヤバい、そんなのないぞ、口から出まかせなのに)・・・・それは入学してから追々理解していただければと思います・・・・・。(オワタ)
主・副 笑笑笑笑笑
 では私からもこれぐらいでしょうね、以上です。
 はい、それでは以上で本日の面接試験は終了です。この後はお忘れ物がないように、この建物から退出してください。お疲れさまでした。
 本日はありがとうございました。(荷物を片付ける、その後面接官に一礼しながら)失礼いたしました。

さいごに


はい、以上になります!いかがだったでしょうか。主査の手元には私の志望理由書だけではなく、質問用スクリプトらしき紙が置いてありまして、面接官ごとに質問が大きく変わることはないのではないか、と思います。そして私が学習院ローで経験した圧迫面接も恐らくなく、和やかに、とはいかないでしょうけど、必要以上のプレッシャーはないものと考えて良いです。
それでは最後に、次年度以降、一橋のローに行きたいというみなさん、是非参考にして、対策の一助としてくれれば私は非常に喜びます。合格を私は切実に願っております、という文とともにこの記事を締めくくらせてもらいます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




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