有理数の有理数乗の和について(その1)

はじめまして

はじめまして. わかめスープ風オムライスと申します. このブログでは, 主に数学の本を読んで学んだことや, 自分で興味を持ったことについての自由研究を書いていこうと思います. 受験生なので更新頻度は低いとは思いますが, よろしくお願いします. 
では本題に入ります.

平方根の和

$${2^{\frac{1}{2}}}$$が無理数であることは有名です. また, $${2^{\frac{1}{2}}+3^{\frac{1}{2}}}$$, $${2^{\frac{1}{2}}+3^{\frac{1}{2}}+5^{\frac{1}{2}}}$$ぐらいまでなら数学の教科書にも載っているでしょう. さて, より一般に平方因子を持たない相異なる自然数を任意に選び, $${a_1, \dots, a_n}$$とします. また, $${0}$$でない有理数$${n}$$個を任意に選び, $${\alpha_1, \dots, \alpha_n}$$とします. そして, $${\displaystyle\sum_{i = 1}^{n}\alpha_i a_i^{\frac{1}{2}}}$$を考えると, これは必ず無理数になります. 証明をします.
証明は背理法によります. 
準備として, 変数$${x_1, \dots, x_n}$$について, どの変数も$${2}$$乗以上された項は含まない有理数係数多項式全体の集合を$${S(x_1, \dots, x_n)}$$とします. 
$${a_1, \dots, a_n}$$に現れるすべての素因数を小さい順に並べ, $${p_1, \dots, p_m}$$とします. 次のような$${f, g\in S(x_1, \dots, x_m)}$$が選べて, 

$${\displaystyle f(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}}) + g(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})p_m^{\frac{1}{2}} = \sum_{i = 1}^{n}\alpha_i a_i^{\frac{1}{2}} = q\in\mathbb{Q}}$$

と仮定すると, 

$${p_m^{\frac{1}{2}} = -\frac{f(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})-q}{g(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})}}$$

$${\displaystyle\frac{f(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})-q}{g(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})}}$$は, 分子と分母に適当にかけていくことで, 分母を有理化することができます. (例えば, $${g_1, g_2\in S(x_1, \dots, x_{m-2})}$$で$${g(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}}) = g_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-2}^{\frac{1}{2}}) + g_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-2}^{\frac{1}{2}})p_{m-1}^{\frac{1}{2}}}$$なら, 分子と分母に$${g_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-2}^{\frac{1}{2}}) - g_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-2}^{\frac{1}{2}})p_{m-1}^{\frac{1}{2}}}$$(これが$${0}$$でないという仮定のもとで)を掛けることで少なくとも$${1}$$つの素数の平方根を消していくことができます. また, こうしていって後に矛盾が生じれば, 条件式の$${m}$$が少なくとも一小さくなった場合に帰着されます. )
かくして, $${h\in S(x_1, \dots, x_{m-1})}$$を用いて, 

$${p_m^{\frac{1}{2}} = h(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})}$$

を得ます. 
$${h(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})}$$に残っている最大の素数の平方根を$${p_j^{\frac{1}{2}}}$$とし, それでくくって両辺自乗することで, $${i_1, i_2\in S(x_1, \dots, x_{j-1})}$$を用いて, 

$${p_m = i_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{j-1}^{\frac{1}{2}}) + i_1(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{j-1}^{\frac{1}{2}})p_{j}^{\frac{1}{2}}}$$

を得ます. 右辺が自明には有理数でないなら, $${m}$$を$${1}$$以上小さくすることに成功しましたし, 自明に有理数であるならば, $${h(p_1^{\frac{1}{2}}, \dots, p_{m-1}^{\frac{1}{2}})}$$における$${p_{j}^{\frac{1}{2}}}$$でくくってわけたものの両者の積を考えることで, やはり素数の平方根の種類を減らしてより小さい場合に帰着させることができます. 

もっと書く予定でしたが, 疲れたので次回へ続きます. 次回は$${2^{\frac{1}{2}} + 2^{\frac{1}{3}}}$$が無理数か, さらに一般に有理数の有理数乗の有理数倍を任意に足したものが自明な場合を除いて無理数かについて書こうと思います. 

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