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100倍、身につく国語力 (20) 創作文篇

❤小~高校生と、母親向けのレッスン

 (1年間で国語力の悩みが解決できる!)

【創作文篇】
 ・四コママンガから原稿用紙4~5枚
   程度に書く練習
 ・『コボちゃん』で短編の創作練習⑧

『コボちゃん』で短編の創作練習 ⑧

(8)寝不足のコボちゃん
① 課題四コマ

② 創作ストーリー
 
 きょうは、コボちゃんの幼稚園から
ピクニックに行く日だ。

 みんなは、先生といっしょにスクール・
バスに乗り込んだ。バスの中では、みんな 
楽しそうにおしゃべりをしていた。

 先生が人数の確認のため、ゆっくり数え
ていた。すると、山田先生が、

 「あら、一人たりないわ」

  と言ったので、田中先生が、

  「だれかしら、あと一人、だれ
  かしら?」

 とあたりを見(み)ました。

  「センセイー、コボちゃんが
  いない」

  とみんなが一斉に叫んだとき、バスの
前の方から、コボちゃんが急いでかけて
来た。それを見たみんなが、

「コボちゃーん、早く早く!」

と大声で叫んだ。もう大変な騒ぎだ。

 コボちゃんは夕べ遅く寝たので、今朝
うっかり朝寝坊をしてしまった。間に合
わなくて、朝ごはんを食べる時間がな
かった。それで、とにかく遅れないよう
にバスまで走った。コボちゃんは、

  「センセイ、ごめんなさい~!」

  と山田先生に謝ると、

  「いいわよ、だいじょうぶ?」

 と慰めてくれたので、安心した。全員
がそろったところで、バスはみどり公園
をめざして出発した。

  その公園は、幼稚園から一時間かかる
けれど、丘の上にあって広々としている。

 天気の良い日は、遠くに山々が見えて、
とても気持ちいい。きょうもまっ青に晴
れて、ウキウキする。しばらく縄跳びや
ボール投げなどをしてから、お昼ご飯を
食べることになった。

  みんなが一番楽しみにしている時間が
やってきたのだ。コボちゃんはもうおなか
がペコペコだった。ママが作ってくれた
お弁当を開けると、サンドウイッチがきれ
いに並んでいた。

  「わー、どれから食べようかな」

  とえらんでいると、よし子ちゃんがそば
に寄って来た。

  「コボちゃん、バナナと取り
  かえっこしない?」
 「取りかえっこすんの?」
 「そう、いいでしょう?」
 「ウーン、いいよ」
 「ありがとう」
 「ウン…」

 (しょうがないか、バナナは
  あとで食べようっと)

 その次に花子ちゃんがやって来た。

  「コボちゃん、チョコと取り
  かえっこしない?」
 「ウーン、いいよ」
 「ありがとう」
 「ウン…」

 (これも、あとで食べよっと)

  今度はゆり子ちゃんがやって来た。

  「コボちゃん、ジュースと取り
  かえっこしよう?」
 「ウーン」
 「ありがとう」
 「ウン…」

 (これも、あとで飲もっと)

 するといっしょにいたよう子ちゃんが、
やって来た。

  「ドーナツと取りかえっ
  しよ」
 「ウーン」
 「ありがとう」
 「ウン…」

  (これも、さいごに食べるとするか)

 

 コボちゃんは、せっかくママのサンド
イッチを食べようと思ったけれど、あと
一つしか残っていなかった。とにかく、
もうだれとも取りかえっこしないように、
急いで残りの一つを飲みこんだ。

  「ああ、やっと食べれた」
 「あら、コボちゃん、まだ食べ
  終わってないの?」

 という声が聞こえた。山田先生だった。

  「ウウン、はんぶん食べたよ」
 「そう、おいしそうね」
 「先生、食べる?」
 「いいわよ、コボちゃんの
  でしょ?」
 「ウウン、ボクのじゃないの」
 「ええ、どういうこと?」
 「みんなに取りかえっこして
  あげたの」
 「あら、そう、偉いわね」」
 「でも、食べ切れるかなあ」
 「大丈夫よ、がんばってね」
 「うん」

 (みんないろいろ取りかえっこした
 けれど、バナナ、チョコ、ジュース、
 ドーナツなんだよね)

  コボちゃんは、もうすっかりおなかが
すいていたので、一気に食べてしまった。
そして、なかよしのヨッちゃんからもらっ
たアイスクリームも、ぜんぶ食べてしまっ
た。

  その後、家に帰るとおなかが痛くなって、
熱も出てしまった。ママはびっくりして
お医者さんに来てもらった。

  「コボちゃん、どうしたの?」 
 「ウン、いろんなもの食べたの」
 「いろんなものって?」
 「バナナ、ジュース、チョコ、
  ドーナツ、それに、アイスクリ
  ームなんか」 
 「おやおや、ずいぶんいろいろ
  だね」

 すると、ママがそばから先生にわかる
ように付け加えた。

 「すいません、この子、お昼ご飯
  のとき、お友だちと取りっかえっ
  こしたんですって」、
 「しかたないもん」
 「なんでそんなもんばかり食
  べたのよ」
 「もてる男のつらいところな
  のだ」

 「また、変なこと言って、
  みんなって、女の子でしょ」
 「……」
 「パパがいけないのよ。寅さん
 のえいが映画なんか見ているから」

  思わぬところで、パパにとばっちりが
跳ね返って来た。寅さんが好きなパパは、
ときどきテレビで『男はつらいよ』の映画
を見ている。だから、ちょっと困ったよう
に、にが笑いをしてしまった。

 ❤思わぬところで、パパの寅さん映画
 好きの影響が出て、ママに叱られて
 しまいましたね。ちなみに、今の子
 どもさんは寅さんののことを知らない
 ので、説明してあげる必要があります。

 ナミズ (2024.03.02)

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