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100倍、身につく国語力(62)発音篇

❤小~高校生と,母親向けのレッスン

(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
 
オノマトペ篇 ②
【日本語のオノマトペの特徴】
 
3.オノマトペを多用する国民性
(2) オノマトペの典型的な用法
 
 
「オノマトペ」の典型的な用法は、何
かの音声や、何かの様子を表すもので、
文法でいえば副詞と呼ばれる語群の働き
になります。しかし、それは通常の副詞
なのか、「オノマトペ」なのかは議論の
分かれる
ところなのです。
 
 例えば、「しらじらと」という単語は、
心理的に「寒々しく感じる」という場合
と、物理的に「白」という色のイメージ
に連結しているという、いわゆる両面の
意味のあることが次の例で分かります。
 
 <例> 
  ①あまりの無責任な答弁に、
   しらじらとした気分になる。
     ② 漆黒の夜がしらじらと明
    けていくようだ。
 
 ①  は「しらじら」が「寒々しい気分に
なる」ということで、「白」という意味
と直結しません。しかし、②の「しら
じら」となると、「闇夜(やみよ)が現実
に少しずつ白くなっていく」ということ
で、「白」という具体的な色に連想でき
ます。それで、①  の方が「オノマトペ」
に近い使い方ということになります。
 
 さて、単語が音として発せられると、
特に「オノマトペ」は元々のイメージと
結びついたとき、いかんなくその効力
を発揮(はっき)する
ようです。例えば、
テレビのコマーシャルでも頻繁に使わ
れる「ほんわか」というのはどうでしょ
うか。
 
 <例>
  ① 会議場が→瞬(にわか)に
    ほんわかしたものになった。
     ② 会議場が→瞬にしらじら
    したものになった。
 
 上の2文を比べてみると、①の「ほん
わか」は、「ほ」と「わ」といった音の
持つ柔らかいイメージ、例えば、「ほく
ほく」、「ふわふわ」、「ほわっと」
などの言葉が連想されます。


 
 一方、②の「しらじら」は音ではなく、
「寒々しい」という感覚のイメージを表
していることが分かります。これは、
「白」という普通名詞の「しろ」という
音が「しら」に転じて「しらじら」と
なった二次的な語と考えられます。
 
 このように、「しらじら」が「オノマ
トペ」のような印象を与えてしまうのは、
なぜなのか、ここで少し考えてみましょ
う。日本語には畳語(じょうご)という、
かさね言葉が非常に多く、これが「オノ
マトペ」のリズム感を醸(かも)し出して
いるといえます。
 
 <例>
   ① ぐんぐん、どんどん、ぴか
    ぴか、がんがん→進行的状況
  ② きんきん、ちくちく、ぽか
    ぽか、じめじめ→感覚的状況
 
 ただし、ここで気をつけなければなら
ないのは、畳語が必ずしも「オノマトペ」
になるとは限りません。それは、元々は
動詞や形容詞に由来する語があるからだ
といえます。
 
 <例>
   ① おずおず、しみじみ、つく
     づく
   ② しずしず、どうどうと
 
 ①  は動詞群で、「お(怖)ず→おじる、
→し(染)しみる、(尽)く→つきる」に由来し、 
②は形容動詞群の「静かだ→しずしず」、
「どうどうと→堂々たり(古語)」から
来ていると考えられます。
 
この他に、「オノマトペ」は「キラリ、
コックリ、ドキン、ドタン、バーン、
ピカッ、フックラ、ペコリ」などのよう
なものがあり、語尾には「リ」、「ン」、
「ッ」などの要素が共通してついている
ことが知られます。
 
 このように見てくると、「オノマトペ」
の由来は、名詞、動詞、形容詞、形容動
詞などに求められ、長い日本語の歴史の
中で使われて来たことが知られます。

そして、それは日本人の言語活動に深く
浸透しており、由来や背景を知ることは
とても楽しいことに気づきます。
 
❤なお、「オノマトペ」に関しては
 幾つか辞書が出ていますので、手
 にとって見るといろいろな発見が
 あり、私たちの言語生活がいかに
 豊かなものかを知ることができます。
 ちなみに、今回参考にしたのは、
 下記の辞書です。
 
<参考>小野正弘著『日本語オノマ
    トペ辞典』(2007、小学館)
                                                  
アナミズ (2024.04.13)

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