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1990年3月8日(木)

【某サークルO部室:渕上 幸太郎・河本 多喜二】
「よっしゃオオアラシ!」
「引き強えーなー」
 札を床に叩きつけて叫んだ渕上 幸太郎に、呆れた表情で河本 多喜二が返事を返した。ここは某サークルO部室。本日午前中は探索を行った渕上と河本であるが、探索終了後はレストラン『北食2階』で昼食を取る。その後何をするかで悩み、『スタジオ』に行こうかとも考えたが、とりあえずサークルの部室に来てみたのである。すると他には誰もいない様子だったので、再度どうするか考え、とりあえず部室備え付けのトランプを使っておいちょかぶをやることにしたのだ。勝負事というのは腕に寄るというのはもちろんであるが、運が大きな影響を及ぼすのは間違いない。そしてその運というものは人によって持っているものが違うのである。例えば渕上と河本で比較すると、運の強弱について普段はあまり気にならないのであるが、ここぞという時の渕上の運というか勝負強さというのは明らかに河本を凌駕しているのである。
「今日も俺の勝ちのようだな」
「いやいや、敵いませんわ」
 上機嫌の渕上に向かって軽く笑いながら河本は返事を返す。勝負は水物であり、勝ったり負けたりするのが常であるので、特に勝負事に負けても河本はあまり気にしないのである。ただ、渕上は勝負事の際には結構勝ちにこだわるところがあるので、このような考え方の違いも、運を引き寄せる何かに影響しているのかもしれないと考える河本であった。

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