見出し画像

2004年6月29日(火)

【AXIS:富田 さやか・富田 正継・前田 綺羅・原田 祐一・村川 学・富田 剛】
「ただいまー」
「おかえりー。飲み物持ってきてあげるね」
 店に入ってきたちびっ子4人が大きな声で叫んだのを聞いて、富田 さやかは笑顔で返事を返した。ここはゲーム&喫茶『AXIS』喫茶部。15時少し前の時間であり、先程まで店内は落ち着いた雰囲気であった。現在黒髪幼稚園初等部に通っている富田 正継、前田 綺羅、原田 祐一、村川 学の4人は、幼稚園が終わるとここまでスクールバスで送ってもらい、ここで母親のお迎えを待つのが習慣となっている。前田の家は『AXIS』の目の前なのでお迎えを待たずに自分で帰れるのであるが、自分だけお迎えがないのは寂しいということで今のようなシステムになっているのである。4人はいつものように1番奥側のテーブルに座り、今日幼稚園であったことを楽しそうに話し合っている。
「ありがとうございます!」
 しばらくするとさやかが全員にジュースを運んできたので全員でお礼の言葉を述べ、両手でコップを持ちながら一気に口に中に流し込んでいく。その飲みっぷりは気持ちが良いぐらいであり、思わずさやかにも笑みが溢れる。
「おー、帰ったか」
 こう叫びながら富田 剛が入店してくる。先程までゲーセン部にいたのであるが、そろそろ子供達が帰ってくる時間であり、ちゃんと帰っているかを確認にきたのだ。
「こんにちはー」
 正継以外の4人が富田に挨拶をする。元気な子供を眺めるのは気持ちがほっこりし、思わず笑みが溢れる。
「それにしても綺羅ちゃんは今日も可愛いねー」
「お父さんそれ言うの恥ずかしいからやめて」
 口癖のような富田の言葉を聞いて、正継が少し不満げに文句を言う。前田は生まれた時から誰が見てもわかるぐらいの可愛さを持っており、それは4歳になった今も全く変わらない。地球上の全4歳女子の中でも1番ではないかと思えるぐらいの可愛さなのである。とはいえ、父親がそのようなことを自分の友達に言うのは気分が良い者ではないのだ。
「ごめんごめん。まあ無事に帰ってきてて良かった。じゃあお父さん仕事戻るから」
「バイバーイ」
 こう言葉を残して富田は喫茶部を出て行き、その背中から子供達のバイバイの声が響いたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?