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2004年5月5日(水)

【AXIS:大塚 仁・本田 仁・富田 さやか】
「屋根よ〜り高い鯉のぼり〜」
「いくらすんねん!」
 食後のコーヒーを飲みながら本田 仁が思わず口ずさんだ歌を聞いて、大塚 仁がタメなしで突っ込みを入れた。ここはゲーム&喫茶『AXIS』喫茶部。現在お昼過ぎの時間ではあるが、今日までゴールデンウィークで祝日なので、客はいつもよりは少なめである。大塚と本田は、本日まで奥さんと子供が実家に帰っているので、何かしようという話になり、いったん『AXIS』に集合して昼ご飯を食べたのである。すると店内のテレビから今日が子供の日だという話題が流れたので、思わず本田が歌ってしまったのだ。
「屋根の相場がわからんな」
「俺も買ったことない。てか屋根だけ売ってるっけ?」
 屋根より高いの高いの部分について、高さではなく値段と判断して突っ込まれたことに対して、冷静に本田は言葉を続け、それに大塚も思っている疑問を口にした。確かに今まで屋根だけが展示してあり、値段が表示されているのを見たことがない気がする。なので、屋根自体がいくらぐらいするのかは全く想像がつかないのでる。また、屋根と言ってもいろいろな種類があり、値段もそれこそピンからキリまであるはずだ。だが、この歌で鯉のぼりが登っている横に立っている家は1軒屋で瓦葺の屋根のイメージがある。それだといくらぐらいするのであろうか。考えても答えが出ないことを先ほどから本田と大塚は悩んでいる。すると、店内の様子を確認しに来た富田 さやかに声をかけられる。
「どうしました?お二方。何かお悩みですか」
 こう尋ねられて正直大した悩みではないので、何でもないと答えることは出来たが、それも悪いので正直に聞いてみることにする。
「屋根っていくらぐらいすると思いますか?」
「え、屋根?だけ?買うんですか?」
 思いもよらないことを聞かれて富田は動揺する。今まで考えたこともなかったことなので、値段は全く想像もつかない。
「ごめんなさい。わからないです」
「ですよね。わからなくて正解ですよ」
 済まなそうに答えた富田の声に大塚が優しくフォローを入れる。この後も2人はいろいろな角度から屋根の値段を考えてみたが結局結論が出ることなく、諦めてゲーセン部へと向かうことにしたのである。

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