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1990年3月9日(金)

【戦士鍛錬場:前田 法重・村川 慎太郎・右田 良子】
「うーん、やっぱり無理じゃね?」
 前田 法重の声が戦士鍛錬場に響く。午前中の戦士鍛錬場。本日も戦士数人が鍛錬に訪れている。一緒に鍛錬を行なっている前田と村川 慎太郎、右田 良子は今後進入するであろう暗闇の空間での戦闘のために、目を瞑った状態での鍛錬を実施している。
「今まで意識しなかったけど、この鍛錬場も迷宮と同様の特殊物質が存在しているので多少気配は感じる気がする」
「罠解除士が亜獣の気配を探知できるのだから、私たちも気配だけで戦えないとは言えないんじゃないかしら」
 村川の言葉に続けて右田が意見を述べる。
「そうか、少なくとも罠解除士は亜獣の位置がわかるから指示して貰えばある程度の場所はわかるな。後は気配を察知すればって感じか」
 そう言った前田であったが、少なくとも自分の戦闘スタイルは暗闇空間とは相性が悪いことを感じている。亜獣の攻撃が見えなければ切り返しのしようがないからだ。
「まあ悩んでも仕方がないし、鍛錬しましょ」
 可愛い声で右田が前田に剣を向けてきたので、お互いに目を瞑って鍛錬を開始し、休憩の村川も椅子に座って目を瞑り2人の動きの気配を感じる努力をした。

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