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2004年6月22日(火)

【熊大第3迷宮:USJ満喫大作戦部隊】
「今日は師の顔に免じて身を引きましょう」
 こう言葉を発して消滅していく道化を見つめながら廣田 くるみは大きく息を吐いた。ここは熊大第3迷宮。USJ満喫大作戦部隊は本日も地下9階を訪れてボスである道化戦を行っている。
「くるみお疲れー、物質回収してくるね」
 すれ違いざまに手のひらをタッチした永島 梨夏が物質回収に向かい、廣田は回復を行ってもらうために吉江 友花里の場所へと移動する。
「回復いる?」
「いりますよ!」
 少し意地悪な表情で声をかけた吉江に対して、笑顔を浮かべながら廣田は返事を返す。だいぶん楽になってきたとはいえ、まだある程度のダメージは喰らっている。特に雷撃を避ける際にどうしてもその破片を喰らってしまうのは仕方がなく、これは通常のダメージよりも痛みが激しいので、回復をしてもらわないとたまらないのである。
「回復」
 右手をダメージの場所に手をかざして吉江が回復を行うと、痛みが次第になくなっていき、廣田は満足の表情を浮かべる。そして廣田の回復と、永嶋の物質回収が終わったタイミングで、道化戦は2周目に入る。
「じゃあ行ってくる」
 全員に声をかけて宇井 陽太が壁画の場所へと向かい、その中に左手を差し込む。
「気に入りませんね。私の美学に反します」
 いつもの言葉を発した道化は相変わらず不適な笑みを浮かべながら宇井を見つめている。それを見ながら宇井は大きく息を吐いて勢いよく道化へと突っ込んでいくのであった。

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