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2004年7月1日(木)

【熊大第1迷宮:九州新幹線で鹿児島へ部隊】
「痛たたたた」
「回復」
 左手を負傷している桐原 美早に対して、有坂 清人が回復の施術を行った。ここは熊大第1迷宮。九州新幹線で鹿児島へ部隊は本日初めての迷宮探索を行っている。今日までに準備できる事はほぼ行ってきており、隊員たちの実力についても探索に十分足るものを持っている。迷宮入り口に集合し、十分に準備を行ってから迷宮に入り、まずは北側に伸びた通路を進んでいく。そして通路は右に曲がり、少し進んだ場所で中村 茂美が5体の亜獣の気配を感じると報告する。ここで初めての亜獣との戦闘を行うことになったのであるが、この時遭遇した5体は兎頭4体と盗賊1体という地下1階では少し手強い相手であり、入り口から近い場所ではあまり遭遇しない亜獣であった。南山 洋行の催眠の魔法で、兎頭1頭は膝から崩れ落ちたので、残る4体と戦士3人の戦いとなる。兎頭1頭ずつを戦士1人ずつが相手をし、残った盗賊は戦士の中で抜けた実力がある是枝 泰彦が兎頭と戦いながらも足どめを行っている。その中で兎頭の攻撃を避けきれず桐原が左腕に結構なダメージを喰らってしまったのである。戦況的にまだ余裕がない状況だったので、桐原は痛みを我慢して戦闘を続ける。そして何とか5体を倒しきり、現在ダメージを回復してもらっているのだ。
「痛みは引かないんかな」
「どうなんだろう。ダメージ自体は治せるはずだけど、痛みに関してはわからない」
 回復措置をしてもらっているが痛みが引かないことに関して桐原が質問し、それに有坂が答える。僧侶の業務として白色球を用いた回復を行う事は僧侶鍛錬場で教わっているが、それが何をどうどこまで回復させるかまでは詳しく教わっていないのである。
「痛みは引かないみたいやね」
 回復がそろそろ終わりに近づいているが、まだ痛がっている桐原を見て、有坂は言葉を漏らす。結果回復が終わるもいたみが全く引かなかったので、本日はこの1戦で探索を終えることにした。ちなみに僧侶の回復については痛みを抑える効果ももちろん備わっている。ただ、有坂の技術が今の桐原の痛みを抑えるレベルに達していないだけの話である。

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