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2004年6月2日(水)

【熊大第5迷宮:やっぱ冒険者好きやねん部隊】
「帰ってきたぞ、帰って来たぞー♪」
「ろーおかーいにー♪」
 6階の空間に侵入してすぐに歌い出した前村 亮二に合わせて宮本 紳が低音を見事にハモるのに成功した。ここは熊大第5迷宮。やっぱ冒険者好きやねん部隊は先週地下5階のボスを撃破したので、今日から地下6階の探索を開始した。ただ、やっぱ冒険者部隊はもともと地下6階を探索しており、島田 笠音が引退して、代わりに雨宮 英利香が合流した際に、階層を少し上に戻されてしまったのだ。そこで本日久しぶりの6階侵入ということで、前村と宮本が帰ってきたウルトラマンの曲に合わせて歌ったのである。
「ご機嫌だねー」
 笑顔を浮かべながら飯島 桜が言葉を漏らす。それを聞いて他のメンバーも思わず笑みを漏らした。
「さて、おたわむれはこれぐらいにして」
 真剣な表情に戻った宮本が迷宮探知を開始する。以前地下6階を探索していた時も、ボス部屋の場所を探知することは出来なかった。だがあれから結構な時間が経っており、自分の迷宮探知のレベルも上がっているはずである。であるならば今日ボス部屋の場所を探知できてもおかしくない。
「だめだー」
 しばらく集中していたが、やはりボス部屋の探知は成功せず、宮本がまるでリールの上をカメが移動して、結果ハズレで止まった時のような声を発した。
「紳、ドンマイ」
「宮本さんネタがマニアックー」
 軽く肩を叩きながら前村が慰めの言葉を発し、太田 香澄は先ほどの宮本の言葉の元ネタがわかったらしく、笑顔で突っ込みを入れた。まさか元ネタを知っているメンバーがいるとは思っていなかった宮本は何やら恥ずかしそうな表情を浮かべている。
「じゃあ少しぶらついてその辺の亜獣でも狩りますか」
 こう言葉を発して前村が移動を開始する。これに合わせて他のメンバーも隊列を組み直し、続けて移動を開始した。結局この日は4回ほど亜獣と戦闘し、そこまで危険な状況になることもなく戦闘を終了する。そして撤退をしようかという時に大河原 美沙が質問をする。
「ねえ香澄、さっきのは何のネタなの?」
 気になっていたらしく尋ねてみたがそれに対して太田は分かりにくい返事を返す。
「ほらあれですよ。あれ。あれ?台の名前忘れた。セブン、ドクロ、セブン、ドクロ、セブン、ドクロ、ナス!ってやつ」
 頑張って教えてくれてはいるが、言っている意味が全く分からず、大河原は大きなため息をつくのであった。

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