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2004年6月28日(月)

【魔術師鍛錬場:権藤 章人・花輪 清加・仲松 紫苑】
「そろそろ出来ても良い時期だと思うが」
「何かが足りないと思うんだよねー」
 ベンチに座って休憩中の権藤 章人が漏らした言葉を聞いて、花輪 清加が少し首を傾げながら返事を返した。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。28期魔術師トリオである権藤と花輪、仲松 紫苑の3人は朝から一緒に鍛錬を行っており、現在は休憩中である。スケジュール的にはそろそろ大爆発の呪文が発現できるタイミングなのであるが、まだ3人とも大爆発の呪文発現には至っていない。先程から何度も何度も光球を爆発させているが、爆発が継続せずに単なる爆発で終わってしまっているのである。
「どこに意識を集中するんだろうね」
「結構それ人によっても違うって言うしな」
 疑問に思ったことを仲松が口にし、それに権藤が返事を返す。大爆発の呪文は爆発した光球のかけらが再度爆発するようなイメージであり、普通に考えれば、爆発したかけらに対して光球が爆発するようなイメージで集中すれば再度爆発が起きるような気がする。だがそれを今までやってきているが、今のところはまだ成功できる雰囲気でもないのだ。
「イメージが間違ってるかもしれないね」
「じゃあどうイメージするのかって話だな」
 自分たちの鍛錬方法に問題がある可能性を花輪が口にし、それに権藤も考えを述べる。実際先輩魔術師たちに大爆発を唱える秘訣を聞いてみても、人によって答えが違うのである。中には先程まで正解と考えていたように、爆発したかけらに集中して再度爆発させるというイメージの先輩もいるのである。
「ちょっと思考を変えてやってみようか」
「意外なところに盲点があるかもね」
 こう話しながら花輪と仲松が立ち上がって鍛錬場所へと向かっていったので、権藤もお茶を一口流し込んだ後で立ち上がり、2人の後をついていったのである。

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