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1990年3月2日(金)

【罠解除士鍛錬場;富田 剛・森 瑠美・林 真一郎・山口 可奈】
「山口さん質問があります」
「あら、富田君が質問って珍しいわね」
 鍛錬中に山口 可奈が現れたので富田 剛は思っていた疑問を山口に尋ねた。午前中の罠解除士鍛錬場。本日は富田と森 瑠美、林 真一郎の3人が鍛錬を行なっている。基本的に富田が発現させる罠を森と林が順番に解除するということを行っていたのだが、山口が現れたので鍛錬を一旦中止し、山口に質問を始める。
「2期生が入ってくるじゃないですか。4月に。俺たちがそうだったんだけど、採用試験って鍛錬場で行ってましたよね。てことは試験の間俺ら試験受ける人たちと一緒に鍛錬する?もしくは鍛錬場使えない?とかあるのかなと思って」
 富田がこう疑問を口にすると、森と林も気づいたようにお互い顔を見合わせている。
「そうね、確かにそう思うわよね。でも結論から言えば2期生の試験を行うのはここではないわ」
 平然と山口がこういったので富田は理解に苦しんだ。ここ以外のどこで試験が行えるのだろうか。考えている富田を見つめながら山口が話を続ける。
「富田君。この罠解除士鍛錬所の広さって、建物の外観からすると狭いと思わない?」
 そう言われて富田は罠解除士鍛錬場の広さを頭に浮かべる。ラウンジ、男女のロッカー室、シャワールーム、休憩室、鍛錬場。充分な広さではあるが、確かに建物の外観からすると広さが足りないような気もする。
「実は6階にはこの鍛錬室と全く同じ設備がもう一つあるの。2期の試験はそっちで実施します。なので皆さんは試験中もここの鍛錬場を遠慮なく使って大丈夫です。ちなみに4階の僧侶鍛錬場と5階の魔術師鍛錬場も同様の作りとなってます。戦士鍛錬場だけ広さがワンフロア分あるので、3階に同じ設備はないのですが、7階に同様の設備がありますので、そちらで実施します」
 山口が分かりやすく説明してくれたので富田の疑問は解決し、森と林も安心した表情を浮かべている。
「ただ、試験が終わった後はここで一緒に鍛錬等行うことになりますので、その際はお願いね」
 笑顔で山口がこう言ったので、富田、森、林は大きく頷いて、鍛錬を再開した。

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