1989年12月3日（日）

【UCCコーヒーショップ：草野　紗江・神田　空】
「まあ、そりゃあ好きか嫌いかって言われたら嫌いではないけど」
　多少顔を赤ながら草野　紗江が質問に答える。ここはセンタープラザ内にあるレストラン『UCCコーヒーショップ』。お昼の時間帯でもあり、たくさんの客で店内は満席状態である。本日朝から百貨店『岩田屋伊勢丹』で一緒に買い物を行った草野と神田　空であるが、お昼時になりお腹が空いてきたので、センタープラザ内にあるレストラン『UCCコーヒーショップ』で昼食を食べることにしたのである。美味しい食事を頂いて、食後のデザートを楽しんでいる時に神田が原田　公司のことをどう思っているのかという質問をしてきたので、それに返したのである。
「まあイケメンだし面白いからね。好きになるのもわからんではない」
「好き・・・じゃないからね」
　冷静に漏らした神田の言葉に、少し慌てて草野が否定する。先程からの反応はどう見ても原田に好意を持っていると判断できるのだが、それをまだ言いたくないのであればそれでも良いかと神田は納得する。この後は今日色々見てきた商品や購入したアクセサリ、コスメ商品を話題に盛り上がる。話題が変わって安心した草野であったが、神田は気持ち的に腹落ちしない感じがしており、少しだけもやもやとしていた。