見出し画像

1990年3月13日(火)

【岩田屋伊勢丹:鈴木 圭介・林 真一郎】
「何かいろいろあるもんやなあ」
「まあ適当でいいんじゃないかな」
 周りを見渡しながら鈴木 圭介が漏らした言葉を聞いて、林 真一郎が返事を返した。ここは『岩田屋伊勢丹』。本日午前中は探索を行っていた鈴木と林は、探索終了後に街に出てきて、現在『岩田屋伊勢丹』にいるのである。明日は3月14日でホワイトデーになる。今年もバレンタインデーは冒険者になったこともあり、知り合いも増えたことから結構な量の義理チョコをもらったのである。もらった時から、きちんとお返しはしないといけないと思っていたのだが、今日の今日まで準備をしていなかったのである。そこで『岩田屋伊勢丹』のホワイトデーコーナーにやってきて、品定めをしている最中ということなのだ。
「適当といっても、どうせ渡すんだから、少しでもセンスを感じるものがいいな」
「別に気にしなくて良いと思うけどな」
 真面目に商品を選びながら鈴木が発した言葉に、林は自分の考えを述べる。ただの義理チョコのお返しだから何でも良いと考えるか、とはいえ折角渡すのであれば、少しでも素敵な物が良いと考えるかは人それぞれなのだ。この後、しばらくは鈴木の購入品選択タイムが続き、林はそれを待っていないといけなかったが、それを申し訳なく感じた林が夕飯は奢ってくれたので、これで貸し借りなしのイーブンとなったのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?