1990年1月2日(火)

【出水神社:林 真一郎・森 瑠美・四谷 謙詞・真田 美和】
「四谷君が私を好きになってくれますように」
 真田 美和は出水神社本殿の前で手を合わせ、祈るように心の中で呟いた。ここは市街地から東部方面に進んだところにある『出水神社』。同じ敷地にある『水前寺公園』は観光名所として非常に有名である。本日林 真一郎が帰省から帰ってきたので罠解除士仲間で初詣に行こうということになり、『出水神社』にやってきているが、相変わらず富田 剛の姿はない。
「うーん、いい神社よね。何か願い事も叶いそう。美和はどんな願いことしたの」
「え、あ、今年はみんな無事でいれますようにってい、祈りました」
 明らかに動揺している真田を見て、願いの内容は違うなと思ったが、森 瑠美は特に突っ込むことはしなかった。
「瑠美さんは何て願ったんですか」
「私?私は来年もみんなで一緒に初詣に来れますようにって願ったわ」
「そうなんですか。そうですね。来年も一緒に来たいですよね」
 笑顔を浮かべてこのように真田が叫ぶ。その笑顔を見て森は少し申し訳ない気持ちになった。先ほど語った願いは確かに本当だが、実はもう一つ願い事をしたのである。しかしその願いを真田には話さなかった。
「森さーん、真田ちゃーん行きますよー」
 林と一緒にいる四谷 謙詞が大声でこう呼んだので、森と真田は足早に林達のところに向かって移動を始めた。

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