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2004年5月6日(木)

【AXIS:小原 愛梨・青沼 絢加・中宗根 利加・富田 さやか】
「意外と客少ないんだね」
「冒険者御用達って噂なんだけどね」
 テーブルに座って周りを見渡した小原 愛梨が発した言葉に、青沼 準加が返事を返した。ここはお昼過ぎの『AXIS』喫茶部。店内の席はある程度埋まっているが、満席というほどではない。本日から冒険者組織30期の2次試験が開始されており、説明会と体力測定が午前中に無事終了して、初日の試験を終えている。小原と青沼、中宗根 利加も先ほどまで体力測定を行っており、それが終わった後、シャワーを浴びて、冒険者組織を後にする。そしてどこかで昼食を食べようかという話になり、冒険者達が集まる店という噂の『AXIS』にやってきたのである。ただ、イメージ的には全席冒険者の人たちで埋まっているのを想像していたのだが、空席もあったり、普通におっさんや子供連れの母親もいて、いわゆる普通の喫茶店という感じだ。ただ、もしかすると何人かいるおっさんや母親の方達も冒険者ではないという確証はないので、もしかするともしかするかもしれないと考えている。
「お待たせしました。本日のランチ3つですねー」
 注文した料理を富田 さやかが運んできて、テーブルに配置する。すごく美味しそうな料理に舌鼓を打ち、3人はいただきますと呟いてから食べ始める。すると3人を少し観察していた富田が話しかけてきた。
「もしかして、今日の冒険者試験の受験者さんですか?」
「はい。そうですけど」
 質問に対して代表して小原が答える。それを聞いて富田は笑顔を浮かべて言葉を続ける。
「やっぱり。そうじゃないかと思ったんですよ。頑張って合格して、また食べにきてくださいね!」
 こう言われたので、3人は無言で軽く頭を下げる。それを見て富田は再度笑顔を浮かべて、軽く会釈をした後、カウンターへと戻って行ったのである。

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