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2004年5月10日(月)

【僧侶試験場:辻村 正晃・帆足 ゆりこ・坂本 真由美】
「おお、こうすればいいのか」
 指先に灯った光を見つめながら辻村 正晃はこう呟いた。ここは僧侶試験場。本日は2次試験3日目である。現在の時点で僧侶で課題をクリアしていたのは帆足 ゆりこの1名であり、先ほど指に光が灯った辻村が2人目ということになる。一度光が付いてしまえばそれ自体は非常に簡単らしく、辻村は指先の光をつけたり消したりしている。それに気づいた坂本 真由美が近づいて声をかけた。
「辻村くん出来るようになったみたいね。おめでとう」
 こう言われた辻村は坂本に対して指先に光が灯っていない方の手でサムズアップを返す。これで辻村も指先の課題をクリアしたので、これ以降の鍛錬時間は別の鍛錬を行うことになるのだ。実際すでにクリアしている帆足は他の受験者とは少し離れた場所で何かしらの鍛錬を行っている。
「じゃあ辻村くんもクリアしたからこの後は別メニューになります。付いてきてください」
 こう言って坂本が歩き出したので、言われた通り辻村はその後を付いていく。すると、視線の先にいる帆足の場所へと移動しているようだ。
「帆足さん。どう調子は?」
「調子を言われましても、ぼちぼちでんなあですかね」
 声をかけられた帆足が軽く笑いながら返事を返す。そして坂本の後ろに辻村がいることに気づいた。
「帆足さんの次に辻村くんがクリアしたわ。なので、これからは一緒に別メニューを行ってくださいね」
「わかりました」
 真剣な表情で説明した坂本の声を聞いて、辻村がクリアしたことと、今後は一緒に別メニューを行うことを理解した帆足は、素直に了承の返事を返す。そして、課題をクリアしたらしい辻村に対して、祝福を行い、辻村も丁寧に礼を返した。この後は辻村に対して別課題の内容を説明し、一緒に別課題を行うようになったのである。

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