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1990年2月9日(金)

【罠解除士鍛錬場:富田 剛・四谷 謙詞・森 瑠美】
「そんなもんですかねえ」
 両手に発現させた光球に罠を設定しながら富田 剛がこう呟く。午前中の罠解除士鍛錬場、本日は富田と四谷 謙詞、森 瑠美が鍛錬を行なっている。四谷の罠解除の練習のため両手で罠を作成していた富田に森が自分の部隊の状況を話して聞かせたのである。
「なかなか難しいと思うわよ。性格にもよるけど。河本君はともかく渕上君は極度の恥ずかしがり屋だから一緒にいるだけでもかなり緊張しているみたい」
「うーん、羨ましいけどなあ。だって戦闘中なんてやることないからずっと周りが戦っているのを見てるんだけど、みんな男だから何か全然ときめかないって感じで寂しいです」
「それは別に女性でもときめかないでしょう。冒険中なんだし、ねえ四谷君」
 富田の言を聞いて、富田の罠が出来るのを待っている四谷に森が尋ねる。
「え、ときめきますよ。右田さんの剣技には惚れ惚れしますし、佐々木さんには癒されますし、呪文を詠唱する藤原さんの美しさにはドキドキが止まりません」
「ムッキー」
 四谷の言葉を聞いて作っていた罠のことを忘れ両手を上に上げてキレまくる富田であった。

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