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2004年6月4日(金)

【熊大第5迷宮:カードキャプター部隊】
「はーるばるー来たぜ第5めいーきゅー」
「デニムに演歌は似合わないわね」
 思わず外口 デニムが口ずさんだ歌を聴いて、丸山 静江は軽く笑顔を浮かべて突っ込みを入れた。ここは熊大第5迷宮。カードキャプター部隊はすでに第2迷宮をクリアしており、先週は第2迷宮地下6階の鏡の間を探索したが、今日から満を持して第5迷宮の探索に入るべく、迷宮の入り口を訪れているのである。初めて訪れる第5迷宮の雰囲気に興奮した外口が思わず歌を歌ったのであるが、部隊のメンバーの反応は多少冷ややかであった。
「まあそれは良いとして、全員ちゃんと予習はしてるよね?」
 先程の歌の反応が思った以上に悪かったことで少し気まずい表情をしている外口が、全員に質問をする。新しい迷宮探索とは言え、この迷宮はすでに黒髪てへトリオ部隊が探索を終えている。そして罠解除士の大塚 仁によって、ある程度のマニュアルも作成してあるのである。ただ、第5迷宮は今まで踏破してきた第1、第2迷宮と違い、あまりマニュアルに記載されていることが多くない。それは迷宮の作りに起因し、毎回入るたびに構造が変わるので、決まった攻略法が存在しないのである。ただ、各階に存在するボスと通常亜獣の情報はもちろん知っておくべき内容なので、その点は全員がきちんと予習をしているのである。
「では入りますかね」
 こう言って外口は第5迷宮の入り口から中に入り、他の隊員たちもそれに続いた。中に入ると、少し広い空間になっており、そこから何方向かに通路が伸びている状態である。今ここでやるべきは罠解除士が迷宮探知を行うことによって、ボス部屋の場所を特定することだ。
「さしより、できる気はしないけどやってみる」
 こう言って高村 佳子が迷宮探知を行うべく集中する。元々周りに亜獣の存在はなかったのであるが、もしかしたらの可能性を考え、戦士3人は臨戦体制で準備をしている。そしてしばらくすると高村が口を開いた。
「やっぱりまだ無理です」
「了解。仕方なし」
 このように外口は返事を返し、この後の行動を考える。まあ、考えるまでもなく、第5迷宮地下1階を彷徨くという選択となるであろう。この後、しばらく入り口付近を中心に彷徨いていると、何度か通常亜獣と遭遇する。地下1階に出現する亜獣はそこまで弱くはないが、苦戦するほどでもないので、4回ほど遭遇、殲滅を繰り返し、本日の探索を終えることにした。

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