見出し画像

1990年3月15日(木)

【戦士鍛錬場:川口 耕輔・判 祐市・右田 良子】
「一通り配ったかな」
「多分大丈夫そう」
 バレンタインデーにもらったチョコのお返しを1人1人に手渡しながら戻ってきた川口 耕輔が発した言葉を聞いて、判 祐市が返事を返した。ここは戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行なっている。昨日はホワイトデーであったが、川口と判は探索日だったので鍛錬場に来ることができず、バレンタインのお返しができなかったのである。そこで本日1日遅れとはなるが、もらった女の子たち1人1人にお返しを渡したのである。ただ、本日私をスキーに連れてって部隊は探索を行なっているので、小林 みゆきと伊達 みゆきは本日は鍛錬場に来ない予定であり、お返しを渡すのは明日以降になってしまうのである。
「女の子も大変だけど、男の子も大変だね」
 笑顔を浮かべながら右田 良子がこのように口にする。大変といえば確かに大変なのであるが、年に1度ぐらいはこのようなイベントがあっても良いと考えている。もちろん義理ではないチョコがもらえる可能性もあるわけだし、男子としては良くも悪くも楽しみな1日なのである。
「まあもらえなかったけどな」
「ん?どうした」
 思わず漏らした川口の心の声が聞こえて、判が声をかける。そのことに気づいた川口は少し恥ずかしくなり、返事もせずに立ち上がって鍛錬へと向かったのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?