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パスティッチェリア Sandri

コルソーヴァヌッチには、イタリアでも最も歴史のあるお店の一つ、アンティークな雰囲気、ケーキが有名、軽食も摂れるカフェ、サンドリがある。
高い天井にはフレスコ画も描かれている、居心地のいい素敵な場所。
制服の赤いジャケットを着た、恰幅のとってもいいおじさんがいつも、美味しいエスプレッソを笑顔で淹れてくれた。

その頃、サンドリのコーヒーカップには、スイス国旗のデザインがあったのを覚えている。 後にその意味を知る。

1946年に王政が廃止となり、第二次世界大戦後、国民投票によって、今の共和国となったイタリア。 
パスティッチェリア(ケーキ屋さん) サンドリは、1860年設立なので、イタリアがまだ王政時代にスイス人によって設立された。
だから、カップにはスイス国旗のデザインがあったんだ。

同級生の日本人と、ここでは授業の後、よくたむろしていた。
あ~久しぶりの学生生活の自由を満喫できる、楽しいひととき。

ある時、日本に居る時にも知っていたイタリア人俳優が入って来た。
1960年以前頃に生まれた人ならたぶんきっと、誰でも知っている、スクーターのコマーシャルにも出ていた人。

ジュリアーノ ジェンマ

イタリア、マカロニウエスタンを代表する俳優。

彼がサンドリに入ってしばらくすると、煙草をくわえ、手探りで何かを探している。 私はライターを差し出すと、′アリガトウ’ と日本語で、素敵な笑顔で応えてくれた。 
たまに、中国人に間違えられたりする私たちは、ジュリアーノ ジェンマに、日本人と認識されて、嬉しかった。

もっと、ちゃんと話せたなら、彼の日本での経験をいろいろ聞けただろうな、残念。

ところで、日本ではイタリアのウエスタンを、’マカロニウエスタン’ と呼ぶけれども、他国ではそう呼ばない。
日本以外の外国ではなんと、’スパゲッティウエスタン’というらしい。
どうして日本では、マカロニになったんだろうなぁ。

外国人大学での選択科目に、イタリア映画史というのがあった。 
もちろん私は選択。

試験の日、通り一遍の質疑応答の後、教授は待っていましたとばかり、お気に入りの日本映画の話から、ローマの日本料理店に行って美味しかった事まで、嬉しそうに一気に話された。 

授業では、とても穏やかな話し方をされる方なのに、この時ばかりは、少年が嬉しくて、はしゃいでいるような雰囲気だった。 
その一連の’日本大好き話’ 炸裂の後、教授は私に満点の30点をくださった。。。。
 


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