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痛苦、西北、右、乱気流、生存不安の然らしむるところ、

二月十四日

恐れることも恥じることもない木々の葉のあいだから、陽の光がさしこむ。

『シャーウッド・アンダーソン全詩集――中西部アメリカの聖歌/新しい聖約』(白岩英樹・訳 作品社)

午前十時11分。ブルボンプチこんがり玄米と紅茶。ねむい。寒くてねむいなんて最悪の組み合わせ。しかもモーニングアタック付き。
きのう香林坊のうつのみや書店に行ったらたまたま古書市が開催されていたので六冊買った。ほんらいはちくま学芸文庫から新しく出たロバート・ノージックの『生のなかの螺旋』を買うつもりだったのだけど、立ち読みしてみると「親子の絆」みたいな不潔凡庸な言葉が眼にはいり、この人とは相性が悪そうだなと判断し、けっきょく買うのをやめた。買ったのは、モーリス・ポンス『マドモワゼルB』、レイ・ブラッドベリ『スは宇宙のス』、アルフレート・クービン『小説 対極』、フィリップ・クローデル『灰色の魂』、ジョルジュ・バタイユ『有罪者』、ジョオン・サークス『消費社会の誕生』。締めて二三〇〇円。部屋に戻って茶碗蒸しを電子レンジで作って食って夕暮れのなかを散歩していると小立野のうつのみや書店でも古書市が開催されていることを知ったのでそこでも三冊買った。メアリイ・マッカ―シイ『グループ』、サーバー『虹をつかむ男(異色作家短篇集9)』、『笑死小辞典』。締めて1100円。今月はもうすでに本を買い過ぎている。酒はとうぶん飲めない。

山本夏彦『おじゃま虫』(中央公論社)を読む。このころはまだ中央公論新社ではなく中央公論社だったんだよな。読売新聞社の傘下に入る前。
山本夏彦の文章をはじめて読んだときはなかなかの痛快を感じた。でもその後はその断言癖あるいは反キレイゴト芸にうんざりさせられることが多くなった。現在においても彼のコラムには一定の人気がある。彼の文章はじつに歯切れが良い。とくに世間の「偽善・正義派」に対してはより歯切れが良くなる。現代を「ポリコレの専制」と感じているような人たちにとって、彼のような率直さは一服の清涼剤のようなものなのだろう。

もうそろそろ出かける。このごろは「強迫さん」が強くなりがちだ。深夜はヘッドフォンを付けていても物音が気になる。物音が耳に入ると動悸が止まらなくなる。いったい俺は何を恐れているんだ。隣りの爺さんなのか。本当に恐れているものはそんなものなのか? ソニー・ロリンズを聴きたい。ももんがソーラー・パネル。鳧。

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