見出し画像

歯医者が怖くて仕方がない

私は子供の頃から歯医者が大っ嫌いです。何が嫌いかって歯を削るときの、あの音、あの振動、あの痛み。だから私は虫歯にならないよう歯磨きを丁寧に行い、歯のクリーニングも3ヵ月に1度は欠かさず通っていたのに…。にもかかわらず昔に治療した詰め物の奥で虫歯が進行していたことがなんと発覚。結果、歯科医院へ通うこととなり毎週土曜日が憂鬱で仕方ありません。          

診察室のリクライニングのイスが後ろに倒れ、私の顔面めがけてライトが当てられます。取り調べを受ける容疑者に刑事がスタンドのライトを顔に突き付ける、まさに刑事ドラマのアレですよ。そのときの私の内向感覚は、取調室で吊るし上げられ身じろぎひとつ出来ない容疑者が浴びせられる光線として知覚しています。(ユングの示す内向的感覚の例えにどうだろうか…)                                               

そもそも、歯医者嫌いは子供の頃のプチトラウマによるものです。私には小さい頃、かなり強い触覚過敏が有りました。年を経て感覚過敏はだいぶ順応、鈍化しましたが…。ですので、昔は触覚にまつわる苦手なコト、毛嫌いすることが身の回りでたくさん有りました。           

まずは衣類。靴下を履くことが好きではありませんでした。ズボンのようにお腹や足回りにまとわりつくものも嫌だったのでいつもスカートを履いていました。タートルネックのセーターで首回りがチクチクするのも嫌でした。帽子や手袋も身に付けられるようになったのは小学校にあがってからです。

そして、自分の体が何かに触れることも好きではありませんでした。水に顔をつけられなかったので洗顔やプールで潜ることも苦手でした。海水浴や公園の砂場の砂は嫌いでした。さらに、お風呂で体を洗ったり、髪を洗うことも嫌でした。母親はシャンプーハットを私にかぶせ無理やり頭を洗おうとしましたが、ハットの締め付けも嫌だったし、かぶったところでお湯は顔や目に入るのでシャンプー絶対阻止をしていました。                      

当然、爪切りも嫌、耳掃除も嫌、目薬も差さない、髪も触れられることが嫌だったので、いつも後ろに結わくだけで三つ編みとか編み込みなど手の込んだ髪型をしたことはありませんでした。なんだか野良猫みたいですね。そういえば、お友達と手を繋ぐときも一瞬の躊躇を呑み込みました。こんな有り様なので、小学校3年生に上がる頃までは、私は十分に清潔感の欠いた子供でした。                                   

また、INTJを自認し心身両面におけるパーソナルスペースを広めに取ることも触覚過敏の傾向が多少は影響していたのではないかと思っています。                   

そうそう、勿論、歯磨きも嫌でした。母親の仕上げ磨きを逃げて回っていました。そんな子供でしたので、幼稚園から中学生までは常に虫歯が何本もあり、毎年歯科検診で引っかかっては歯科医院に連れてゆかれることが恒例でした。                  

歯科医院に行くまで、私は泣きわめき、逃げまわり、母親も相当に手を焼いていたと思います。あれはおそらく、小学生低学年の頃。母は通院と引き換えに私にオモチャを買い与えることを約束してくれました。破格の条件です。私は渋々条件をのんで歯科医院へ通いました。

恐怖に駆られた子供の目には歯科医院の診察台は物々しく映りました。また強いライトに照らされ、まじまじと私の顔を覗き込む歯医者さんの無表情な形相は、今でも鮮明に私の脳裏に焼き付いています。いつ終わるとも知れない恐怖に囚われ、私にとって歯医者さんは「怖くて嫌いなもの堂々1位」に見事、輝いたのでした。                             

このプチトラウマは今でも私に暗い影を落とし、私の人生に影響を及ぼしています…。なんて、歯の治療中、硬く目をつむりながら子供の頃のトラウマの源泉を頭の中でなぞり、INTJと触覚過敏の関連性を考察し、とにかく治療の現実から必死に目を背ける私なのでした。           

あー、また次の土曜日が怖ろしい…。                    

                      

     

           

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?