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社会不適合者黙示録 思春期編(3)

小学校は地元の公立に通っていた。僕の地元は田舎なのでほとんど私立校がなく、中学受験という文化が浸透していない。よって、小学校の同級生ほとんどが、同じ中学へ進学することとなる。隣の小学校からもやってくるが、田舎なのでそこまで大人数ということはない。中学校は当時約30人×4クラスくらいの規模感だ。私立へ行く人が少ない分、意外と人は集まる。(※1)

入学当初はまだまだ例の大群に群れていた。この4月の挙動は今後3年間の生活にかかわってくるからだ。お花見の季節の土曜日、その群れで祭りのやっている公園へと向かった。集合はボスの家で少し遠いので、自転車で向かった。本当は通学時はヘルメット着用の義務があるが、この悪ガキ集団にそんな方は通じない。僕は念のためかごにヘルメットを入れておいた。これで先生たちにばれてもいつでも着用できる。

公園に到着後、僕はトイレに行ってきたのだが、その群れはどこにもいなかった。先に行ったのかと思い、少し探したらそう遠くない場所にいた。合流して公園内を練り歩く。

敷地内では特に何もなかったが、最後解散するときに駐輪場で僕の自転車がないことに気づく。確かに自転車できたはずだ。周りの奴に一緒に探してほしいと頼んだが、あまり気にしていないようだ。それよりも他の奴がエアーガンで遊んでいて、弾がふくらはぎをかすって痛いことの方が大きな問題となっていたようだった。こっちは盗難被害にあってるのに…

僕は自転車通学なのでなくなったら非常に厄介だ。同日警察署に相談しに行き、時間もたたないうちに中学校の担任から「ヘルメットが捨てられていた」と連絡がきた。学校まで行って取りに行ったら、「いじめられでもしたのか」と心配されたが、「自転車ごと盗まれた」と返したらそれはそれで大問題だということになった。こんな土曜日に先生たちも大変だったことだろう。

翌日日曜日、意外にも自転車はすぐ見つかった。町中に乗り捨ててあったので、おそらく近所の不良が移動手段として使っただけだろう。ヘルメットとは別の場所で見つかったので、おそらくその不良がかごを使いたくて途中で捨てたのだろう。とんだどうしようもない奴にハンドルを握られたものだ。カギはかけておくべきだと反省し、この件は落ち着いた。

いや、これで終わりでいいのか?僕はその集団で存在感を発揮できなかったではないか。もっと重役ならトイレ中も待ってくれただろうし、自転車も探してくれたことだろう。友達だと思っていた連中は僕のことは何とも思っていなかったということだ。空気だ。空気は空気でも酸素や窒素ではない。アルゴンだ。ここに僕の居場所はない。この大群とは関わらないようにした。

中学卒業まで残り35ヶ月と2週間…


※1 真の田舎民は「体育でバスケができない。ランニングが好きだ。」と言うが、かろうじてサッカーまではできるかな、という認識でいい。

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