【手紙】Von dem Galgen Au Revoir~処刑台からさようなら~
2017年11月27日
冬に一匹の蝶がピアノを弾いていた。それは悲しい曲。しかし、いくらか楽しそうにも聞こえた。僕は彼が誰を思っているか知っている。あの青い花だ。5月の温かい緑の香りに浸り、すべての草木は彼に向かって花を咲かせ、歌った。どんな花さえ自分の身体を欲し、その花衣で彼を包もうとする。あの花も、あの憧憬で満ち溢れた花さえも!彼は彼女に何度も何度も唇を重ね愛撫を重ねた。まるでその花弁に自身の羽の模様を押しつけ、また自身に蜜の香りと花びらの色を溶かしていくように。しかし