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届けられなかった手紙

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これまで書いた手紙や誰かに対する思いを詩や書簡体小説にしたものです。
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記事一覧

【手紙】何もしない君へ

 「どうして?どうして私を助けてくれるの?私は貴方に何もしてない。何も返してあげられない…

【手紙】月並みな僕

僕は太陽にはなれない。 太陽は世界の粒さえ溶かし、 溶かしたエネルギーは中央に佇んで そし…

【手紙】愛に呪われた唇

 歌舞伎町で彼女を振り切った時、僕の胸には悲しそうな光が注いだ。おそらく獲物を物にできな…

【手紙】ガゼボのスカート

どうして雨は降るのだろう。 それはきっと「クロップシュトック!」 と僕らが叫ぶためだ 昼下…

【手紙】嫉妬の権利

2023年3月18日  薄暗い場所に沈む水槽に、沢山の人間が料理を食べながら悲しみを投げていく…

【手紙】だってパリなんだもん

駅前だけどキスしていい? 人前だけど踊っていい? 昼前だけど抱いていい? 許してね だってパ…

【手紙】Von dem Galgen Au Revoir~処刑台からさようなら~

2017年11月27日  冬に一匹の蝶がピアノを弾いていた。それは悲しい曲。しかし、いくらか楽しそうにも聞こえた。僕は彼が誰を思っているか知っている。あの青い花だ。5月の温かい緑の香りに浸り、すべての草木は彼に向かって花を咲かせ、歌った。どんな花さえ自分の身体を欲し、その花衣で彼を包もうとする。あの花も、あの憧憬で満ち溢れた花さえも!彼は彼女に何度も何度も唇を重ね愛撫を重ねた。まるでその花弁に自身の羽の模様を押しつけ、また自身に蜜の香りと花びらの色を溶かしていくように。しかし

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