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【短編小説】モフモフ

街中が緑と赤に染まり始め、クリスマスを感じさせられる季節になってきた。だが、俺には関係ないことだ。毎年クリスマスもバイトの俺は、どれくらい忙しくなるんだろう、ワンオペとかになったら嫌だなあとか、繁忙期くらい時給あげてくんないかなあとか、そんなことばかりを考えながら家に帰った。家に着くと、扉の前に白くて丸いモフモフしたものが落ちていた。いや、何だこれ。家出たときはなかったよな?手のひらサイズで、かわいくはあるけど、まじでなんだこれ。ごみ?だとしたら人んちの家の前に捨てるなよ。そして、これは何ごみなんだろう。モフモフしてるから可燃ごみか?はあ、めんどくせーと思いながらモフモフしたその物体を持ち上げた瞬間俺は驚いた。なぜなら、めっちゃあったかかったからだ。え???なにこれ、なんか温くない??心なしか、心臓の鼓動のようなものが感じられるんだけど。俺、これ捨てて罰とかあたったりしないかな。いきものだったとしたら、殺したことになってしまう。それはぜひとも勘弁していただきたい。死ぬよ、俺の精神が。あの、生きてます?生きてるなら返事をして欲しいのですが。声?鳴き声?が出せるかどうかも分からないそのモフモフに俺は喋りかけた。すると、かすかにだが、ピーという鳴き声のようなものが聞こえた。やっぱ、いきものじゃんこいつ。とりあえず、家に連れて帰るか。何食べるんだろ。てか、食べれるのか?このモフモフ。モフモフ呼びすんの疲れたから、「も」って呼ぶことにする。よし、も、綿菓子食べるか?お前に似て白くてモフモフ?してるぞ。甘くておいしいから食べてみな。てか、も、の口どこだよ。とりあえず近くに置いてみたけど…。お?なんか吸い込まれていく。お掃除ロボットのル〇バみたいだな。おもしれー。俺が綿菓子をあげると、気に入ったのか、も、はピーピーと鳴きながら弾んでいた。おお、気に入ったか。なんだかわいいやつだな。クリスマス前に変なものを拾ってしまったと思っていたが、よくよく考えればクリスマスを一人で過ごさなくてよくなったので少しウキウキしてしまっている。いや、クリスマスとかどーでもいいとか思ってたけど、俺、案外気にしてたんだな。も、を拾ったおかげでクリスマスにバイト頑張れそうだ。も、が何かは全く分からないけど、反応がある相手がいることがこんなに嬉しいとは思わなかったな。なあ、も、もそう思うよな!も?え?なんかお前でかくなってね??!それは流石にでかくなりすぎじゃね?!俺がつぶれ…
 
「…っは!!」
「え?夢????」
「まじか、俺玄関で寝落ちてたとか…」
「…明日、モフモフしたもの買いに行こ」 


作者 : あきふゆ

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