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猫と目が合う日

さあ、出掛けようとドアを開けると強い視線とぶつかった。
カッと目を見開きこちらを見ているのは、いつも私を一方的に見つめては逃げていく茶トラである。
四足を塀にしっかりつけ、背中を丸め毛を逆立たせているのは何故なのか。
いつもに増して臨戦態勢である。
太陽の光で瞳孔が針金のように細い。左右に首を傾けては、何か言いたげに口をもごもごしている。

私、噛まれるのかな。

そんなことを思いながらいつものように挨拶する。

「おはよう。良い顔してんね。」
と言った刹那である。顔の前を茶色が横切り、何処かへ行ってしまった。

怒らせたのか、照れ屋なのか、一体あの子はなんなんだろう。

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