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やっちゃば一代記 思い出(22)

大木健二の洋菜ものがたり
 普及の芽を摘まれる
芽キャベツ
 大正末期から昭和の半ば(三十年代)まで青み野菜といえば芽キャベツでしたが、いまは絹サヤやインゲン豆にその座を明け渡し、消えかかっています
落ち込んだ原因は明白です。栽培に手間がかかりすぎることと、調理が難しかったことです。
 芽キャベツは草丈が1メートルから1メートル半に伸び、その茎に40個から50個の芽がつく形で生育します。生産者は下から順繰りに摘み取っていくのですが、出荷にちょうど良いサイズの芽キャベツを穫るには毎日、畑に出向く必要があります。収穫作業もかなり面倒だから、生産者は高齢化につれて、だんだん生産意欲を失っているのです。
 一方、使う側は単に湯を通して、メインディッシュの添え物にするだけ。
本当はスープの具として煮込むべきです。芽キャベツのお尻に十文字に包丁を入れてスープの味を染み込ませるような工夫をしていれば、恐らく今のような状況にはなっていなかったのではと思います。
 海外産地のベルギーでは、「ブラッセルスポルツ」と呼ばれて愛用されているのに、日本ではじり貧。青み以外の使い途を見つけられなかったことが
後々まで響いています。現在、オーストラリア産が少しずつ輸入されていますが、国内では物好きな生産者が栽培しているだけで、先行きお寒い状況にあります。
 ※芽キャベツ 
 明治初めに大量導入された西洋野菜のひとつ。キャベツを意味する玉葉が子供を持つイメージから子持ち玉葉とも呼ばれ、「子持ち」にかこつけて結婚披露宴の洋食に添えられることもある。
ベルギー原産で、マイナス15度の低温にも耐えるのが特徴。品種は矮化早生種のピア・ジント、ルードナーブ、晩生種のフォーレス、シタデルなどがあります。

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