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やっちゃば一代記 思い出(23)

大木健二の洋菜ものがたり
 なぜか細めは不人気
レホール
 網走の小高い山に登った時、道端に野生のレホールがびっしり生えていました。北海道では、タコの足みたいになったレホールをすりおろし、醬油と合わせて、ご飯にかけて食べるそうです。ただし、栽培種はもっぱら粉ワサビの原料となり、生鮮品としては北海道以外への出荷はありませんでした。
それにしても、寿司や刺し身に使う本ワサビとはまったく違う品種なのに、
【粉ワサビ】という呼び名はいかがなものでしょうか?。消費者を紛らわすことにならないか心配でした。ちなみにレホールは舌に触れた瞬間、脳の奥まで突き抜けるような辛さがありますが、本ワサビは口に仲でじわっと広がっていく辛さ。いずれも口してみれば分かりますが、わたしなら、粉ワサビあるいは練りワサビの色を見ただけで、レホールを原料にしているかどうか判別ができました。それくらいレホールを見続けてきたのですよ。
 東京近郊では長野県が主産地です。いまでこそ年間供給されていますが、
1994年のある時期、パッタリ入荷しなくなりました。産地に品物が無いはずはなかったので、それならばと、オランダから輸入物(真空パック)を緊急輸入して対抗。これで国内ものがなくても凌げることが分かり、出し惜しみをした国内産地は返り討ちにあったのです。その時もなぜか、大産地の北海道からは出荷されなかったのです。おそらく市場に好まれる規格が無かったからでしょう。規格と言えば、レホールの太さについて、不思議に思っていることがあります。料理業界では、いぜんとして茎が太いレホールに人気があるようです。細くても品質に違いはないし、どっちみちおろして使う野菜です。むしろ、
細いほうがおろしやすく、結果的に鮮度の良いものになると思います。
 もう一つ不思議かつ厄介なことは、一度レホールを栽培すると、ふるいにかけて株や根を取りきらないと、後で他の野菜を栽培できなくなる点です。
繁殖力が強いので、ちょっとでも根っこや茎が残っていると、すぐに芽を出してそこら中に蔓延するのです。これで、4,5年は畑が使えなくなったと
契約農場からお𠮟りをいただいたのです。
 ※レホール
ヨーロッパ原産です。ロシア、ポーランドなど東欧で広く栽培されていますね。米国に持ち込まれた後、明治初期に渡来したようです。
洋食ではローストビーフ、生カキに合いますね。
見た目は奇怪ですが、刺激的な香りが身上で、すりおろしたり、削ったりしてローストビーフ、コールドビーフに添えられますよね。
おろし方はまず頭から下に向かって皮をむき、おろしていきますが、注意が要るのは使う間際に一連の作業をすることです。
おろしたレホールは白ワインか蒸留してつくった酢の中に入れると、香辛料ととして利用できますよ.
この野菜はたくさん量は必要ないので大きなレホールを何度もおろして使うのはレホールの性質からしていささか疑問です。

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