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やっちゃば一代記 実録(49)大木健二伝

やっちゃばの風雲児 大木健二の伝記
 マコモに抱いた夢
マコモの国内栽培。大木がマコモに抱いた夢である。マコモが中華料理で頻繁に使われるようになると、役所も重い腰を上げた。農林省(現農水省)がマコモの栽培を推奨したのである。大木もこれに便乗、静岡県での試験栽培に加わった。マコモを植えたのは浜松付近の鰻の養殖地。温暖な気候、豊富な水と栽培条件はよさそうに見えた実際、マコモの生育は素晴らしかった。
 大木は初の国産マコモの出荷を心待ちした。ところが、箱を開けて目を剥いた。『これはマコモか?野球のバットじゃないか?!』
 重量で一キロはありそうだ。台湾の十本分だ。ダイコン並みの大きさに、
大木はがっかりした。味もとても中華料理には使えるものではなかった。
マコモ栽培の国産化試験は静岡県以外にも琵琶湖、千葉県の印旛沼などで行われていたが、いずれも商品化にはほど遠い結果だった。かろうじて輸入物に近かったのが岡山県で作られたものだが、簾が入りやすく、舌触りがガムの様で歯切れが悪いという欠点があったのだった。

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