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どうせ死ぬまでめんどいけど


夕飯の後に夜の散歩に出かけた。
私は現ニートで、慢性的な運動不足である。
昼間は暑いし、なにより日光に曝されるのが嫌いなので夜の散歩からとりあえず始めてみることにした。
正直めんどくさいが、若くして寝たきり生活になるのは避けたいのでしょうがなくだ。

私が住むのは東北の結構な田舎で、午後9時には外はかなり暗くなる。
電柱の防犯灯と家の窓から漏れる光しか足元を照らすものがないのだ。だが空を見上げれば、今にもこぼれてきそうなほどの星々の瞬きが見れるところは唯一気に入っている。
若干の蒸し暑さと鈴虫たちの大合唱の中、足取りは重く、歩き始める。

コースは公民館の前を通り田んぼ道を歩いていき、住宅が並ぶ道を通って帰ってくる、という感じだ。

田んぼの遠く向こうにぽつりぽつり見える、家々の窓だろう小さな灯りを見るのが好きだ。
この灯りひとつひとつに人がいて生活があって、そのうち灯りの住人1人が窓の外を眺めながら、私と同じことを考えているかもしれないなど取り留めもない想像をするのが楽しい。

私は夜の暗がりフェチ、というか仄暗い場所が大好きなのだが、人の生活のにおいを漂わせない建物を見つけるのも大好きな変態である。
今宵はどタイプな家を見つけてしまった。

冠木門のある大きな日本家屋で、家の周りは草木が取り囲むように鬱蒼と茂っている。 草木が落とす暗影には何かが潜んでいるかのよう。隣の蔵らしき建物の2階の窓や屋根を覆う分厚い蔦が夜のぬるい風にわさわさと揺れ一層不気味である。
もし飛び石を渡り玄関の戸を開けたら最後、屋敷の世界に幽閉されるとか、家の中は血潮にまみればらばらにされた死体が転がっているのかも、など頭の中が血なまぐさい妄想が勝手に飛び交い始めた。
ホラーチックな映画や物語は大好きだが、実際にこの身をもって味わいたいタイプでは無い。
単純にビビりなので、一定の距離から堪能したあとは逃げるように家まで向かった。



散歩に行く度思うが、散歩は楽しい。
お風呂と同じで行って後悔したことはほぼない。だが、エアコンの効いた部屋から出て外に行く。服を脱ぐ、それまでがめんどくさい。

悲しいことに、このめんどくささとの戦いは死ぬまで終わらないのだろう。
負けたり、勝ったりしながら残りのライフを消化していくしかなくて、今の局面を変えるには行動しかないということなのだろう。
とりあえず今日はめんどくさい中散歩した自分を褒めてあげてから寝ようと思う。


拙い文章をここまで読んでくださりありがとうございます。
気が向いた時また書こうと思います。


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