名前を知りたい。
私の本名は最後に子がつく、古風な名前。
娘の学年のクラスには子がつく生徒は一人もいなかった。ワイドショーで何年も前に皺皺ネームと呼ばれてた。かよとか、ひろみとか、みちよとか、この辺りも仲間になるのだろうか。
すてきだけどね。しわ感があるらしい。埃っぽいのか、切ないね!
言いたかったのはそんな事でなくて、私に付けるはずだった名前を隠したまま父親が死んでしまったことだ。
父は小説だけでなくあらゆるジャンルの本を愛しどんなに忙しくても読書を欠かさなかった。優先順位は食事と同等だと思う。
子供心にもう少しでいいから睡眠を上位に上げて欲しかった。父は精神を病んだことがあった。
私の出生届を提出した父は命名をひとつ用意したが漢字が難しいという理由で選んでもらえなかった。
その名前は当時流行りの小説からとったという。
しわ感と古風と子という皇室でも必ず使う由緒のある漢字。
小説に中で生きていた女性。私にはもう少しインパクトを残せる名前であったパラレルが存在してる。
父はもう空に帰った。
きっと波子でも小波でもないんだろう、もう一つの名前。
どうしてそんな楽しい話を死んでから教えるのよ。
しかたないな、だからファンタジー。
現実的で貧困でワーカホリックな家庭で育った。
サンタクロースなんていないよ!と幼稚園で喧嘩した
そんな私のファンタジー‥
ファンタジーな名前で生きてみたかった。
現実を歩ける名前で地に足がついてないと言われすぎる。
小説の中の女性はどんな人物だったのか。彼は格好いい人から取るはずだ。答え合わせの方法はない。
幼少期から始まる読書量は父親があちらこちらに活字を置きっぱなしにしてくれたおかげだ。
結婚で苦労して引っ越しが続いた親戚からも大量に本が届いた。
そして母越しに書くことに挑戦した時に書けなかったと後から聞いた。
並外れたインプットが出来ることとアウトプットは別らしい。
父が書けたらあの家庭は違った景色を作ったに違いない。
逃げずに自らと向き合っていれば苦しいです。
あなたが苦しんでないとは言わない。惜しかったとは思う。
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