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静かな旅支度

春は誕生月なので、少し賑わった気持ちになりますが
残念な花粉症のおかげで、終わると「ヤレヤレ感」が満載です

梅雨入りを待ちわびるのは
引換えに、花粉症のお薬を飲まなくなるからで
夏が大好きな理由ではありません

noteでは解らないのですが
「その人が持っている季節のイメージ」が有るとしたら
私は絶対に「夏の人」ではないような気がします

夏を連想する人って
たぶん行動的で、快活で、情熱的で
自分の意見を、ハッキリ言える人・・・みたいな感じでしょうか
元気印が似合う人

昔、初めてお勤めをした企業でのこと
お友達と地下鉄に乗って帰宅している時
その子は「あ・・もっと良い子に見られたいな」と呟きました
私は「あ・・もっと悪い子に見られたいな」と返答

彼女は、男性社員の多い部署で活躍していて
もちろん自分の意見もハッキリと言い、またそれを求められ

私は役員についていて、意見を求められると云うよりは
「円滑に仕事をしてもらう事」が、お仕事の中核でした

まだまだ男尊女卑のカケラが、あちこちに落ちていて
女性の活躍を助ける空気も無く
ハッキリと意思表示をする女性は、少し珍しくて
社会の中心に居た、オジサマ年代の男性には
扱いにくいと思われていた節もあります

多分「もっと悪い子に・・・」という、その頃の私の呟きは
「意見を求められる場所で、働いてみたい」とか
「意見を、当たり前のように言える人になりたい」とか
今の時代では、考えられない生きにくさと
不甲斐なさのカタマリのようにも見えます

「最初の仕事」で、何故そう振り分けられたのか・・・
ずっとそれからも、そんな役割分担が多いように思えます

それから結婚しても、やはり私の役割は
誰かをサポートして、バックアップする事になります
それでも、それが自分の生き方だと信じて来たつもりですから
後悔は無いのですが

あるときふと主人に
「実は私、インタビューされる事って嬉しい」と伝えました
つまり「あなたはどう考える?」と聞かれる事が、嬉しいと
本当に、些細な事ですし
それまで、ないがしろに扱われていた訳では無いのですが
家の中での私の役割は、意見を言うというよりは
意見をまとめる、バランスを図る・・という感じだったと思います

やがて二人の娘も巣立ち
夫婦ふたりの暮らしとなり
お互いの意見を尊重し合う・・と言う空気感も生まれ始め
「自分の思うところ」が、不自由さを感じなくなった今があります

上手に諦めること
期待は、過ぎて持たないこと
理解して貰うことは、ほどほどで満足すること
そして、夫婦は大半において「オアイコ」であること

そして最近「体制に影響ない事は、流しても構わないよね」という
「新鮮な無頓着」が、顔を出し始めています

もうこの年齢になってみると
人生にシャカリキになる場面は、そうは無いかも知れないと思い
ならば残ったエネルギーは、なるべく細く長く、燃費良く
誰かの為でもいいし、自分の為でもいいから、使うことにして

肝心な事だけを「自分の中の、正しい位置」に置ければ
あとは流れるように許して
自分の今に、感謝して暮らせたらと考える自分と会いました

あやふやで、とても解り難い内容ですが
これが正直な「今の私」のような気がします

もしかしたら「自分の意見」に固執していた私は
「そんな形」に、憬れていただけかも知れません

たぶん今は「夏に憧れた後」のような立ち位置で
人生の最終章という
本格的な冬を迎える前の
ほんの僅かな「移行時間」のような気がします

「歳をとるのも悪くはないよ」
負け惜しみではなく
そう思える日が、重なっていくのを
楽しみにしている、日々この頃です



ギャラリーからお借りしたのは
大好きな「hoho」さんの作品です🎐ありがとうございました








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