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上高地紀行

今から30年程前50歳代だった夫婦の小さな旅のお話です。

山は見ていても登山など不縁の2人。でも自然は大好きでした。
登山は無理でも山歩きならできるかもと登山靴を新調して結婚25周年、30周年の2回上高地に出かけました。当時彼はサラリーマン現役で多忙な中での旅でした。
現在夫は亡くなり上高地のことなど私の記憶の彼方に消えていました。
そんな時「初めて上高地に行きます。おすすめの場所などあれば・・・」という息子からのラインを受けました。ライン返しのつもりでこの紀行を書きました。
私の古い記憶を手繰るより、夫が残したアルバムやスケッチ帖の記録に登上してもらいました。アルバム等の彼の添書きを時間系列に並べました。
現在の上高地の山や自然はどうなっているのでしょうか。
絵を書くのが好きだった彼は風景画志向。穂高だ焼岳だと騒いでいましたが彼にお花の名前がわからないように私にも今以って山の名前はわかりません。鉛筆描きのスケッチを見ているとその時の姿がよみ返り彼の感動が伝わってきますが、共に歩いた上高地。どうぞご一緒して下さいませ。

25周年記念。 1989年7月17、18、19日。
カァさんと結婚25周年の記念に高山と上高地に2泊3日の旅をしました。
高山はカァさんが2度目。上高地は私は結婚前に行ったことがあります。
高山は昔の家並みのたたずまいに感激。春慶塗りお弁当箱を娘の土産に買いました。

焼岳スケッチ

上高地は自然の美しさとホテルのリッチな雰囲気に感激でした。
穂高連峰と焼岳はホテルに着くなりベランダから感激のあまりスケッチしました。
今年は例年になく涼しい夏とはいえ山肌に雪が残っていました。
 2日間滞在しましたが景色が美しく写真を70枚ほど撮りました。
カァさんは何キロも散歩につきあって少々ムクレ気味ですが、また来年も来たいと云っていましたのできっと喜んでいるでしょう。
ホテルの支配人も良い人で色々気を使ってくれ「上高地は新緑の季節がいいですよ」と帰りはバス停まで見送りに来てくれました。
名前を聞くのを忘れましたがハンサムでした。
久しぶりに感動の旅行でした。


写真スナップ

30周年記念。1994年7月9、10、11、12日。
今年は結婚30周年。5年ぶりに上高地に行きました。
ホテルは今年改修されて5月6日にオープン。梅雨の最中でしたが7月に予約がとれました。前回の印象が良かっただけに、大いに期待した旅となりました。今回はカァさんの富山の友人がぜひとのことで友人夫婦と氷見で1泊し私達は上高地に入りました。5年ぶりの上高地どうなりましたか。お楽しみ。

下流より河童橋望む

7月10日。
富山から高山まで鈍行列車で2時間半、高山から平湯までバス。平湯からタクシーでホテルへ。釜トンネルを過ぎ大正池と焼岳の景色に見とれながら林の中を進むとホテルの赤い屋根が見えてきました。
改修されたホテルの外観を期待しましたが全く変わっていませんでした。
案内された部屋は玄関側で穂高も見えずベランダもありません。
穂高は頂上に雲がかかって今回は「いやな予感」。
前回はベランダ付きのデラックスツインで穂高はくっきり見えていたのに。しかし天気は良いので早速、大正池まで散策に出かけました。
焼岳が非常にきれいに見えています。噴煙もはっきり見えています。
少なくなった枯木の前で写真をパチリ。しかしバカチョンカメラではきれいに撮れません。カァさんは花を見つける度に立ち止まりパチリ。私は穂高がみえないみえないと山だけに興味。しかし仲良く手をつないで歩きました。

ホテル周辺の山々

7月11日。
徳沢まで行くことにしました。
ホテルで「おにぎり」をつくってもらい20キロのコースにチャレンジです。カァさんがバテないかと少し不安でしたが午前10時に出発。明神橋まではたくさんの人々とすれちがいますが橋を渡るとほとんど人に会いません。
出会ったのは鴨の一家でした。私達を見つけると川のあちこちから集まってきて歓迎されたのには驚きました。小鴨が私たちを追うのですが親鴨がたしなめるのです。鴨にうしろ髪を引かれる思いでした。
徳沢の手前になると視野が開け大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳等々が一望に見えました。感激!!
徳沢を過ぎて上流に行くと、工事用の橋がかかっていました。梓川の橋上ですが上流も下流も絶景です!橋の上で私はスケッチを。そして待望のお抹茶を一服・・・なんとうまいことか。2人だけのお茶会でした。
景色最高。梓川も美しく風も心地よく。
林の中を返してホテルに着いたのは6時すぎてました。カァさんはバテていましたがよく頑張りました。風呂に入って7時の夕食タイムにはまにあいました。
しかし、夕食は・・・今年は期待はずれだったのです。
日中好天でしたが穂高は雲の中にあって姿をみせず、いささか心残りの感はありました。
しかし夜空は満艦色の星空。天の川がきれいだとカァさんは感激。

7月12日。
おそらく今日は穂高がみえるぞと密かに期待。
5時頃起きてベランダへ出て見る。穂高連峰が完璧に姿を見せています!
ぞくぞくしながら1人河童橋まで出かけました。今日はほんとうに穂高がきれいに見えています。1時間でも2時間でもみあきない山です。
富士山も桜島も見あきない山ですが穂高も何時間でも見れる山です。
いつかキャンパスに描いてみたいと思っています。
もう思い残すことはありません。

旅行後記
今回は3泊4日の富山・上高地の旅でした。
富山ではカァさんの友人ご夫婦と氷見の魚を食べカラオケで思いきり歌い楽しい旅ができました。
上高地では梅雨空が心配でしたが3日間とも晴天に恵まれました。
期待したホテルはその質が低下して前回のような満足感はありません。
食事もまずくデザートのメロンまでもおそまつでついにクレームをつけました。
しかし穂高は最後の日完璧な姿をみせ徳沢まで歩いたのは感動でした。
帰りは松本で下車。街を散策しました。
5年後に上高地に来るかどうかは今のところわかりません。

後日談。
1ヶ月後の8月、リベンジ旅行をしました。
志摩観光ホテルの高橋料理長の料理が目的です。
上高地の帝国ホテルがゲンメツだっただけに今度こそと考えたのですが…
さすが!!この料理は完璧でした。おおいに納得。云うことナシなし!!
2人とも大満足でした。
メニュー「優雅な晩さん」海の響きを懐かしむ。
(帰途、お伊勢さんにもお参りしました。)

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