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彼女は普通のバービー!死について考えているという以外は〜マーゴット・ロビー〜

ACTORS PROFILE Vol. 14

マーゴット・ロビー
「バービー」


1990年オーストラリア生まれ。彼女は普通のバービー!死について考えているという以外は。

 バービーは天真爛漫だ。彼女はバービーのバービーによるバービーのためのバービーランドで、幸せに暮らしていたが、死や老いの不安を感じ始める。問題を解決するためにバービーは勝手についてきたケンと共に人間世界へ。そこで彼女の当たり前が崩壊していく。 

人間世界へ旅に出るバービーとケン

 ▲ロビーが「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で、ディカプリオ演じるJ・ベルフォートの妻ナオミ役を演じて、ブレイクしてから今年で10年となる。際どいシーンも臆することなく突っ走る肝の据わり方は群を抜いていて、それは今も変わっていない。自分のイメージを理解して、その道をひたすらに突っ走る。だから手に負えないハーレイ・クインという予測不能の振り子のようなキャラクターですら、ロビーは自分のものに出来たのだ。

私はバービー!

ドラマ作品「スキャンダル」や「グッバイ・クリストファー・ロビン」、「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」のようなシリアスな演技も見事だが、彼女がより魅力を発するのはコメディ作品だろう。「アイ、トーニャ」でのフィギュアスケートの問題児トーニャ・ハーディングや「バビロン」の破滅的なスター女優ネリーあたり、最高だ。明るい顔をして、恐ろしいことを毒づく。中毒的な化学反応。そしてドツボにはまってもがくほど人間味がグッとせり出す。また「アイ、トーニャ」以来、プロデューサーとしても活躍。このプロデューサー業が、ひとつのプロジェクトを導き出した。それが「バービー」だ。

 ▲当初は製作としてのみ携わるはずが、ガーウィグ監督がロビーを主演に指名したそう。人形に過ぎないバービーを演じるのは、かなり難しかったとロビーは語っている。自分自身を知る旅路でバービーは喜怒哀楽する。徐々に命のかぎりある人間という複雑なイキモノの中に自分を見出していく。人間として、女性として生きる道を知った彼女の表情に、かつて無邪気に「ハイ、バービー」と町中に手を振って挨拶していた彼女はいない。

 ▲もちろん今作はコメディだ。でもロビーのコメディとドラマ、両方に振れる幅の広さが、作品の枠を想像力豊かに押し広げていく。ブレイクから10年、ロビーは映画界を代表する俳優になった。間違いなく今年の顔だろう。


マーゴット・ロビーとアカデミー賞

・第90回アカデミー賞(2017)主演女優賞候補:アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

 「アイ、トーニャ」でお騒がせフィギュアスケーターのトーニャ・ハーディングを演じ、オスカー初候補となったロビー。この年の主演女優賞は受賞したマクドーマンドの他にも、「シェイプ・オブ・ウォーター」のホーキンス、「レディ・バード」のローナン、「ペンタゴン・ペーパーズ」のストリープと強豪ぞろいだった。その中でも「スリー・ビルボード」での圧巻の演技もさることながら、アワードシーズン中、名スピーチの数々で魅了したマクドーマンドが21年ぶり2度目のオスカーに輝いた。

・第92回アカデミー賞(2019)助演女優賞候補:スキャンダル

 2016年に起きたテレビ局FOXニュース内のセクハラ告発を描く「スキャンダル」でロビーはセクハラの被害に遭うキャスター志望の若者を演じた。タイムリーな演技ではあったが、この年は「マリッジ・ストーリー」のベテラン、ローラ・ダーンが受賞を果たした。ベテラン離婚弁護士の役は出演時間が限られていたが、インパクト大だった。ちなみにロビーは同じ年に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でハリウッド一の悲劇のヒロインであるシャロン・テートを演じて、高い評価を得ていた。

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