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もう哀れなるものとは言わせないぜ~エマ・ストーン~

ACTORS PROFILE Vol. 18

エマ・ストーン
「哀れなるものたち」


1988年アメリカ生まれ。もう哀れなるものとは言わせないぜ。

 ベラ・バクスターは自殺を図るも、狂気のサイエンティストの手によって蘇らせられる。目を覚ますと彼女は、赤子のような振る舞いと無限の好奇心を持って、再びこの世を歩き出す。

 ▲ストーンといえば喜劇のイメージが強い。どんな作品が思い浮かぶだろうか。「スーパーバッド」や「小悪魔はなぜモテる?!」のような青春コメディだろうか。「ゾンビランド」のようなゾンビコメディだろうか。笑えて胸がキュンキュンする「ラブ・アゲイン」だろうか。それともコメディとミュージカルドラマの究極形「ラ・ラ・ランド」か。主演助演に関わりなく、あの大きな瞳と親しみやすい笑顔で一気にハリウッドを席巻したストーン。助演にすぎなかった「ゾンビランド」なんて、オスカー俳優になったのちに作られた続編にちゃんと出演する律儀さが好ましい。大らかな個性とハート。コメディとの相性の良さが分かる。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」より。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のように実話を基にした作品でも、その大らかな個性は縛られることはない。ストーンは、男子テニスのベテラン選手に試合を吹っ掛けられる、女子テニス界の王者ビリー・ジーン・キングを演じた。性別間の戦いのテーマはタイムリーでコクがある。シリアスになりすぎずユーモアが尽きなかったのはストーンの太陽のような存在感があったからだ。

ハジメマシテ。

 ▲それでもギリシャが産んだザ・鬼才ヨルゴス・ランディモスの奇抜な世界とのタッグは誰も予想が出来なかったろう。監督前作の「女王陛下のお気に入り」で病弱なアン王女に気に入られて、その身分を高める野心を叶えようとするアビゲイルの役で卑しさ満点の小憎たらしい演技を見せた。よほど気が合ったのか今作「哀れなるものたち」でも監督と再タッグとなった。

 ▲ベラは蘇らせられたことで、その世界を他の人々とは違う視点で捉え始める。無邪気な子供のように無限の好奇心で世界を吸収する。あの大きな瞳が全てを飲み込む。それは誰にも止めることはできない。もちろんぶっ飛んだ笑いと共に、芯を食った発言も飛び出す。旅を通じて独立心を手に入れるストーンの太陽の輝きは信じられないほどに眩しい。


エマ・ストーンとアカデミー賞

・第87回アカデミー賞(2014)助演女優賞候補:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

 この年のオスカー作品賞に輝いた「バードマン」で初めてのノミネートを得たストーン。マイケル・キートン演じる落ち目の俳優の娘の役で今までのイメージを打ち砕くダークな演技をみせた。主人公に容赦なくキツい本音を浴びせる様は迫真だ。受賞したのは「6才のボクが、大人になるまで。」のパトリシア・アークエット。12年かけた撮影で主人公を育てる母親の心情をスクリーンに焼き付けた。余談だが、受賞アナウンスのときレゴでできたオスカー像を握りしめるストーン。お茶目だ。

・第89回アカデミー賞(2016)主演女優賞受賞ラ・ラ・ランド

 ヒットしづらいジャンルながら大ヒットを記録し、この年のオスカーでも大旋風をもたらしたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」で、圧巻のミュージカルパフォーマンスをみせたストーンは大本命でオスカーを受賞した。ゴズリングとのお馴染みのカップリングもキュート。それだけに作品はビタースウィートだった。

・第91回アカデミー賞(2018)助演女優賞候補:女王陛下のお気に入り

 ヨルゴス・ランティモスの奇抜でドロドロとした宮廷ブラックコメディに見事にハマったストーンは2年ぶり3度目の候補入り。コールマンワイズの三人で創り出す三角関係に目を離すことは出来ない。コールマンが主演女優賞を受賞した時に、嬉しさではちきれそうになっていたのが印象的だった。受賞したのは「ビール・ストリートの恋人たち」のレジーナ・キング。苦難にあう主人公カップルを守り、行動する芯の強い母親を演じた。素晴らしい。


祝!ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル/コメディ)受賞!

祝!ブロードキャスト映画批評家協会賞主演女優賞受賞!

・祝!英国アカデミー賞主演女優賞受賞!


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