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平成ガメラとプログレ(プログレッシヴ・エッセイ 第23回)

レッド・ツェッペリンのリーダー、ジミー・ペイジに憧れ、小学校5年頃、ギターを始めて、バンドを結成した。
アルバムのクレジットを見ると必ずこう書いてあった。

「Produced by Jimmy Page」

その頃に読んだツェッペリン関連の本で、アルバム作りに関して、
「ペイジが曲を選び抜き、組み立てた」
といったようなニュアンスのことが書かれていた。収録曲を選んで曲順を決めることだけがプロデューサー=リーダーの仕事だと勘違いしていた。


バンドによってリーダーとプロデューサーの役割・仕事というのは違うが、金属恵比須は次の通りだ。コンセプトを決めて曲を作りながらスケジュールを立て、予算組みをしながら利害関係者と交渉をしていく。アルバムのリリースやライヴの主催もこの手順で進んでいく。

映画「平成ガメラ」シリーズの金子修介監督の著作『ガメラ監督日記完全版』を読んでいて映画監督に似ている気がした。

1960年代〜70年代に一世を風靡した大映映画の怪獣ガメラを90年代に復活を託された金子監督。1960年代〜70年代に一世を風靡したプログレを90年代より現在に至るまで復活しようとしている金属恵比須。コンテンツは違うが境遇も似ている。

金子監督はガメラ復活に際し、怪獣のデザインを刷新させようとしたところ、大映側からこういわれたそうだ。

旧作ガメラをさまざまな場面で踏襲すべき

176ページ

「ガメラは大映の財産である」ので「財産を傷つけてもらっては困る」のだ。しかし金子監督のデザインを変える目的は、あくまで「ガメラの商品価値を飛躍的に上げる」こと。デザイン変更のために長く交渉をされたそうだ。


金属恵比須は20年以上前、観客の方からこんなご指摘をいただいた。

「プログレで重要なのは緊張感でしょ? 世界観は大切に。ダラダラとMCをすると世界観が壊れる」

私は当時からプログレ界隈の世界観コテコテのステージが苦手だった。息継ぎする間もないので。

バンド内でもこのような指摘も。

「金属恵比須の曲ってプログレっぽくないよね」

プログレっぽくない曲もたくさん作っている。でも、変えていかねばプログレ自体が衰えてしまうという信念がある。このようにして内外問わず、交渉や議論、そして説得をするのがバンドのリーダーである。


ふとレッド・ツェッペリンを聞いてみる。スタジオ盤のギターソロはお世辞にも素晴らしいとはいいがたいプレイが収録されている。昔は「なんでこんなプレイを入れるんだ」と憤っていたが、今ならわかる。

色々やらなければならないことがあったんだろうな。リリースに間に合わせなければ、とか、曲順どうしようかな、とか。


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