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新卒で発達障害の僕が旅にでるまで② 保守編

みなさんこんにちは。突然ではありますが旅に出ようと思います。僕が旅に出ると決意するまでの過程をみなさんにも知ってほしくてnoteを書き始めました。今回は5月の保守編について書いていこうと思う。

書こうと思ってる内容
大学卒業
4月 地域おこし協力隊へ
5月 保守
6月 配置転換
7月 地獄の夏期間
8月 東京にいくかもしれん
9月 運命の感染
10月 焦りと女
11月 いざ札幌へ
12月 危険作業
2023
1月 無能、露わに
2月 無職と旅
3月 夢と生活(現在)
4月 行ってくる

 少しずつ暖かくなり、根雪も完全に溶けきる5月。僕は仕事に慣れつつも不安要素もあった。

1.遭遇
2.没個性
3.苦労は買ってでもしろ
3.地域おこし協力隊になった意味

1.遭遇

 職場に嫌な上司は付き物というが、僕も遭遇してしまった。名前は小山とでもしておこう。年齢は30代後半といったところで、身長は175くらいだと思う。喋り方はハキハキとしており、顔はというと可もなく不可もなくといった感じだ。
 小山との最初の遭遇は4月だった、最初は嫌な上司というわけでもなく、これといった特徴はなかった。そればかりか、むしろ僕の面倒役だったので他愛のない雑談なんかもよくしてた。
 職場では、毎日の配達業務なんてものがあったのだが、基本的に月曜日と火曜日は小山との配達業務だった。最初は格段なにもトラブルは起きなかったが、ある日「スーツのシワを伸ばしてこい」と言われた。これが全ての始まりだった。
 スーツを伸ばせと言われても、家にアイロンはたまたまあったがアイロン台は無かったので、近くのホームセンターでアイロン台を買うなどし、なんとかスーツのシワを伸ばそうと自分なりに頑張った。
  しかし、僕の中ではシワが目立たないと思って着ていったワイシャツも、小山の目にはシワだらけに見えていたらしい。そこで当然小山は前よりも厳しく注意をしてくる。今思うと、この時の僕の対応がまずかった。
 僕は注意されたことについ腹を立ててしまい、何て言い返したかは覚えていないが、何かは言い返した。そこから僕と小山の関係は悪化の一途をたどった。
 余談だが、洗濯機の脱水時間を1分にして、ワイシャツをネットに入れて洗濯すれば、アイロンをかけなくてもあまりシワにならない。これに気づくのがもう少し早ければ小山との関係も少し違ったのかもしれない。

2.没個性
 小山と僕は、ことあるごとに言い合いをしていたと思う。大抵その内容はお互いの価値観に対してである。
 僕は、個性の尊重こそなによりも大事という考え方を持っているが、小山は違う。小山は、個性を隠し組織に溶け込むことや世間体を意識することを美徳としていた。
 ある日の配達帰り、会社の玄関で小山が顔をしかめながら「あまりこういうことは言いたくないがその髪をなんとかしてくれ」と言われた。
 僕は特別派手な髪型をしていたわけではなかったが、天然パーマではあった。言われてから0.2秒くらいは、嫌がらせかなのかなと推測していたたが、あぁきっと天然パーマのことを言っているんだなと考え直し「これ天然パーマなんですよ」と返答してみせた。すると小山は「天然パーマだとしても会社に迷惑をかける髪型なんだから最初に詫びを入れるべきだ」と説得するような言い方で言い放った。
 流石に呆れてしまった。
 生まれもった性質が会社に迷惑をかけるから詫びを入れるべきという考えはあまりにいびつだと思う。もし仮に黒人の同僚がいたとして、その黒人に対して「君の肌は威圧感を与えるから最初に詫びを入れるべき」だなんて言ったらどうだろうか。絶対に許されない。
 肌の色だって髪質だって生まれ持った個性であることに変わりはないし、それを理由にし詫びを入れろなんて言語道断だろう。
 「小山の青ひげの方が不快にみえるだろ!」と言いたくもなったし、「今言ったことは黒人に肌の色が威圧感を与えるから詫びを入れろ、というのと同じ意味じゃないですか」とも言いたくなったが、その時は呆れてたせいか何も言わなかったし、小山は筋の通った反論をすると何も言い返せなくなり、とりあえず「黙れ!」などと怒鳴ることで場を収めようとする。そう一周りも年下の若造に論破されたという事実を認めたくないがゆえに怒鳴るのである。
 小山の悪口は置いといて、小山は組織のためなら生まれ持った個性すら悪とみなすのだろう。
 
3.苦労は買ってでもしろ
 ある日、いつものように小山と軽い口論をしていた。その時小山は持論を散々言った後に「苦労は買ってでもしろ」と言い聞かせてきた。
 僕に言い聞かせるなかで、小山は若い頃の苦労をやや自信げに話し始めた。とりあえず相打ちは打つものの、内心「苦労して小山みたいになるなら苦労しない方がよくね?」と思ってしまった。というのも、小山が所属している僕の派遣先の会社はいわゆるブラック企業であり、正社員に残業代は出ない。さらに年間休日も105日と、ただのブラック企業である。苦労してブラック企業務めになるぐらいなら苦労しない方が良いに決まってる、と思いつつも流石に口には出せないので心に閉まっておいた。
 このやり取りからそう遠くない日に、ハンコ押しの仕事を振られた。内容としては、商品用の紙パッケージにただ延々にハンコを押していくというものである。ハンコ押しと聞くと一見楽そうだが、尋常じゃない量のハンコを押すとなると話は違う。もっというと自分は地域おこし協力隊としての求人票に魅力を感じたからこの仕事を選んだにもかかわらず、あまりにも求人票と仕事内容が違いすぎて早々にまいってしまった。
 そこで僕は、この退屈な作業を一刻も早く終わらせるために何かいい案はないかと思った。最初はいっそのこと電子機械でも作成して全自動ハンコ押し機なんてものも作ろうとしてみたが、電子やら機械の知識は何にもないので毛局断念した。ただ、自分なりにやれることを探してみた。
 解決策を探してみた結果、文面ではうまく説明できないようなアイテムが完成した。説明できないなりにしてみると、そのアイテムは木製であり、ボンドがくっついていており、それまでは一枚一枚ハンコを押していたのだが、そのアイテムのおかげで連続してハンコを押せるようになった。
 次の日、そのアイテムをさっそく会社にもっていきそのアイテムを使用したところ、明らかに興奮した面持ちの小山が「ちょっと来い」といい僕を事務所の二階にある休憩室へと連れ出した。そこで小山はわざとらしくため息をつきながらお伺いやら組織への忠誠やらを説き始めた。そして最後にはお決まりの「苦労は買ってでもしろ」である。その時はろくに反論していなかったが、あの時の僕は、苦労を買っていたと思う。
 なぜなら、例のアイテムを作るのにわざわざホームセンターに行って木材を買い揃え、その木材を切ったりボンドでくっつけたりして貴重な休日をその謎なアイテムづくりに費やした。しかも怒られるかもしれないなと思いつつ職場に謎アイテムを持って行った…ずいぶん苦労してるじゃないか!!
 それにもかかわらず「苦労は買ってでもしろ」というのはどういうことだろうか。推測だが、小山は「”我慢する”苦労は買ってでもしろ」と言いたっかたのだろう。そうなればすべての辻褄が合う。
 もし仮に小山が我慢する苦労をし続けたのであれば、苦労したにもかかわらずブラック企業勤めに留まるのにも納得がいく。なぜなら、我慢したところで大して成長しないからだ。ここで一つたとえ話をしよう。
 同じ会社にA君とB君がいたとする。前提条件としてこの職場はブラック企業かつろくなスキルも得られないとする。
 A君は毎日の残業にも我慢して毎日ひたむきに”我慢”しながら月給18万円を得ている。A君はそんな職場に違和感を覚えながらも、"我慢"しながら3年間で働き続けた。でも、流石に限界だし、そろそろ転職しようかなと考えてはみるものの、ろくなスキルはないし、新卒から3年も働いてしまったので、第二新卒としての転職は間に合わない。
 一方B君は職場のブラックさに辟易とし、早々に逃げ出してしまった。入社するために契約したアパートも速攻で引き払い、実家に一度帰り、再スタートのためにアルバイトをしたり資格を取得したりした。そして半年後はれてホワイト企業への転職を成功させ、順調に社会人の階段を上がっている。
 これを読んでどう思うだろうか。幸せなのはA君とB君どちらだろうか。何をどう考えてもB君である。でも、どちらも苦労しているのである。A君は”我慢する苦労”をした一方B君は”挑戦する苦労”したのである。
 「苦労は買ってでもしろ」というが正しくは「”挑戦する”苦労は買ってでもしろ」の間違いだと僕は思う。

地域おこし協力隊になった意味

 僕は自分の個性を活かすために地域おこし協力隊になった。でも現状どうあがいても自分の個性は活きてこない。詰みである。さらにはストレスから毎朝蕁麻疹が体に現れる。そんなことを考えながらハンコ押し作業をしていたある日、思わぬ声掛けがあった。



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