『国境騎士団・バリアント 〜「お前は存在してはいけない生物だ」・・・俺と対峙した者は何故か不思議と口にする 〜』 第4話

第1話


アメリカ ニューヨーク州 森の中の屋敷

『─────たった今入ってきたニュースです。ニューヨーク州の街中の街灯に女の生首が突き刺さるという事件が起きました。街中の人々は今起きている連続殺人事件と関係があるのではないかと考え────』

「あっはっはっは!見てみろ、アーク。フレイヤの奴、案の定返り討ちにされてるぜ!敵さんも容赦ねーな。晒し首だぜ、フレイヤが」

「それ程奴が俺達同様狂気に満ちているという事だ。奴は『悪意』とも呼ばれているからな。しかし、我らは勝たなくてはならない。気を抜くなよ、ルイ」

アークと呼ばれる男が笑みを浮かべながら話す。

「わーてるよ、奴のせいで商売あがったりだからな。アザートだかデザートだか知らねーが、F**k
してやるよ!」

そうテレビを見ながら会話するアークとルイの目は狂気に染まっていた。

──────
────
──

バリアント アジト

「さーて、アザート君?弁明は何か?」

「弁明?何の事だ?」

帰って早々アザートはニャルラ、ヨグに問い詰められた。

フレイヤの血塗られた首が街灯に突き刺さる事件・・・警察や住民は例の連続殺人事件の犯人ではないかと囁かれているが、犯人はアザートなのだ。

「とぼけるんじゃないよ!アザート君殺すんだろーな、フレイヤ殺されるんだろーな・・・でも、内密に殺ってくれるんだろーな。そう思ってた時にこれだよ!なーんで晒し首なんかしちゃったの!」

「理由は2つ・・・敵に宣戦布告と褒美の両方を見せる為だ」

アザートは何食わぬ顔でニャルラとヨグに話す。

「宣戦布告と褒美?前者の意味は分からんでもないけど、褒美って?」

「情報をくれた、タダでな。その礼を兼ねて用済みの女を殺してやっただけだ」

そう言いながらアザートはフレイヤから奪った紙をニャルラ達に見せる。

「この紙によると、奴は此処から離れた山奥の別荘に住んでいる。そこに俺・・・いや、お前達も含めてそこに招待されている」

「ん〜、これが罠って可能性は?」

「無い。奴等は既に26・・・否、27人もの犠牲を出している。その中で分かった筈だ。己自身が殺しに行かねば首は取れないとな」

アザートはそれが至極当然だろうと言わんばかりに話し続ける。

「じゃあ、そこにいつ行くんですか?」

「直ぐにだ。今直ぐにだ。早い方が良い。何事においてもな」

「そうだね。今は特に何にも依頼とかも無いし、気晴らしに塵を塵にするのも悪く無いね」

ニャルラはそう言って立ち上がった。

その顔は笑みで溢れている。

「それに知らしめてやらないとニャ。アザート君・・・いや、バリアントに属する者に刃向かう意味をね・・・」

ニャルラがそう言った後、アザート達は各々準備に取り掛かり、アジトを後にした。

───────
────
──

そう遠くない何処かの山道

「─────でも、やっぱり殺すのはやりすぎじゃないですか?アザートさん。彼女、一応騙されてた訳ですし・・・」

「馬鹿か、お前は。アイツを生かしておいて何になる?得する事は無い事はおろか、不利益を被ることになるぞ?」

記された屋敷に向かいながらアザートはヨグの馬鹿げた発言に対し、呆れながら答えた。

「不利益・・・何ですか?それは」

「アザート君が殺したのは生かしても異形化するかもしれないから・・・でしよ?」

ニャルラがアザートの代わりに答えた。

その答えに「あぁ、そうか」と声を出すヨグ。

「あぁ、奴の精神状態から察するに数分で異形化していた。ならば、やるべき事は1つ・・・異形化する前にトドメを指す事・・・」

「・・・アザートさんも何だかんだで色々考えてるんですね・・・あっ!見えてきましたよ、例の屋敷」

そう言うヨグの指刺す先には屋敷があった。

側から見ても不気味な屋敷が・・・

「さて、此処からは敵側のテリトリーだ。そこに侵入するに至って方法は3つあるどれが良い?」

アザートはそう言って以下の3つの方法を提示した。

1・・・インターホン鳴らして許可を得て侵入

2・・・別のルートから隠れて侵入

3・・・派手に侵入

「アザート君?分かりきってる事聞かないでニャ〜。私達はお客様ではないニャ。此処の屋敷の主人を殺そうとする、所謂暗殺者って訳ニャ。勿論────」














「黒獣────」

ドバァァーン!!!

突如出現した黒いナニカにより、屋敷の門が大きな衝撃と共に粉砕した。

「な・・・」

「何だ!!」

「何が起きた!?」

衝撃音により中からボディーガード達が次々と現れる。

「アーク様達の言う通り敵が攻めてきた!」

「馬鹿め!アーク様達の手を煩わさなくとも我らで倒す!!」

「しかし、この衝撃から察するに門が破壊されたか?」

ボディーガード達の思考はまさにそんな感じだ。

しかし・・・

しかし、しかし、瓦礫等1つも残っていない。

破壊したのならば瓦礫の1つや2つ残っている筈なのだ。

破壊したのならば生成される筈なのだ。

しかし、何も残ってない。

まさに削り取られた、喰い千切られた、消滅した、その様な痕を残している。

「何が起きた・・・数秒前に一体此処で何が起きたと言うのだ?」

ボディーガード達がそう思考をフル稼働している瞬間・・・

僅かその瞬間であった。

その今は要らぬ情報について考えている中・・・

バァーーン!!!

1人の人間が頭を弾丸で撃ち抜かれた。

ドスッ!!!

1人の人間が心臓を貫かれた。

ズバッ!!!

1人の人間が頭と永遠の別れを喫した。

ほぼ全員・・・後悔した。

要らぬ情報に頭を回しすぎた。

こんな事象別に深く考える意味など存在しなかった。

今、真に思考しなければならない事・・・

それは眼前にいたであろう奴等3人についてを最優先として思考しなければならなかったのだ。

「「「行くか」」」

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