『完璧美男子(腹黒)×無表情メイド(毒舌)+変態JK(ペット枠)の日常』 第3話


「────さて、用事も済んだ事だし、まだまだこの街の紹介したい場所はあるよ。行こうか、加藤さん」

「えっ?・・・う・・・うん・・・」

スタスタスタスタ・・・

「「「・・・・・・」」」














1分後・・・

スタスタスタスタ・・・

「「「・・・・・・」」」














3分後・・・

スタスタスタスタ・・・

「「「・・・・・・」」」














5分後・・・

スタスタスタスタ・・・

「「・・・・・・」」

「・・・って、誤魔化せる訳ないでしょーがぁぁぁ!!!」

私は沈黙に耐えかね、遂に怒鳴り散らす。

「ビックたぁ!ど・・・どうしたんだい、加藤さん?」

「スルーしたってそうはいかないわ!!!」

「何の事だ?分かるか、水無月?」

「さぁ、私も何のことやら?」

2人共惚ける顔を見せるが、その表情が私をまるで小馬鹿にしてるみたいで非常に気に食わない!

「貴方!陰で他人を猿だとか言って蔑んでたのね、サイテーよ!!!」

「・・・・・・チッ!うっせーな!猿に猿って言って何が悪い?俺からすれば泉以外の奴等全て猿にしか見えねーんだよ、このシシオザルが!」

「なっ!?」

遂に本性が現れた!・・・・って言うか、シシオザルって!?

「あ?分かんねーか?調べてみろよ?持ってんだろ、スマホ」

「え〜と?・・・シシオザル?」

シシオザル
分類:脊索動物門 哺乳綱 霊長目 オナガザル科
学名:Macaca silenus
英名:Lion-tailed Macaque

「────って私、こんなに髪の毛ボサボサじゃないもん!!!綺麗だもん!!!」

「うっせーな。俺からしたら変わんねーよ。そもそも、お前が他人を責めれるのか?泉の事を気持ちの悪い目で見たお前が・・・」

「ぇ・・・」

何で?何でその事をコイツが知ってるんだ?

「聞いたぞ?お前、泉を見るなり視姦したそうじゃねーか」

「ぃゃ・・・」

「でもって、主人が男と聞いた途端に泉を寝取ろうと画策したり・・・お前、変態だな?」

「へっ、変態って・・・百合って言ってくれます!?」

「あ?百合だ?百合はお前みたく気持ち悪い妄想を垂れ流すのか?しないだろう?お前がそれを語るな、このドヘンタイが!」

あ・・・あぁ・・・私の・・・私の・・・今日まで培ってきた私の思想が・・・完膚なきまでに破壊されたぁ・・・水・・・水無月さん・・・何か・・・何かフォローを・・・

「無様ですね」

あぁぁぁ!!!何かフォローして下さると思っていた水無月さんの言葉がトドメを刺しにきたぁぁ!!!

「もぉぉぉ!!!私の趣味嗜好の話なんてどーでも良いのよ!!!表では良い顔して、裏で蔑んでいるアンタの方が最低最悪じゃない!!!」

「────それで?」

「─────えっ?」

「それでお前はどうするんだ?皆にでも言いふらすのか?」

何よ、この男!?自信満々なこの態度!!!ムカつくわね!!!

「そ・・・そうよ!当然そうするに決まってるじゃない!」

「そうか・・・泉?少し俺を見ててくれ」

「何ですか?キスでもするんですか?」

「キスでもするの!?」

何!?この状況、この流れでイチャつくの!?信じらんない!?

「違う・・・したいが、今は違う・・・メイクの時間だ!」

そう言って東雲の奴は何処からともなく化粧品を出した。

っていうか、したいんかい!!

そして30秒が経過・・・

「よし、出来た・・・俺はメイクの腕も良くてな。まぁ、俺が知ってるのはメイクはメイクでも特殊メイクの方だが・・・」

そうやって振り向かせた水無月さんの頬は殴られた様に青くなっていた。

「え!?・・・え!?な・・・何がどーなってるの!?・・・ってか何してんの!?」

「ふっ、良いか?泉、お前は謎の変質者に連れ去られ襲われた被害者・・・対する加藤、お前は俺といつも一緒にいる泉が気に食わず、連れ去り暴行を加えた犯罪者・・・さて、俺達がこの状況で人通りがある場所に出るとどうなるかな?」

「一体何を・・・」

「心中を察するぜ、お前の家族にな。お前の両親は犯罪者になる為に1人暮らしさせたんじゃねーのにな」

な・・・ななな・・・ええええ!!!

「あぁ怖かったー怖かったですー暁様」

「大丈夫か!泉!お前の心の傷は俺が必ず癒すからな!」

凄!?セリフは棒読みだけど演技だと思えない涙!・・・って違う!!!

「いい加減にして!そんな設定、誰が信じるってのよ!!!アンタが実は腹黒なクソ男だって言いふらせば良いだけの事────」

「加藤さん、引っ越して来たばかりで得体の知れない者の言葉と老若男女問わず全てに好かれている暁の言葉・・・民衆が信じるのはどちらでしょうか?」

「ぅ・・・ぅぅぅ・・・」

──────
────
──

「────バイトの面接に電話の一本すらなくドタキャンするような人を採用するとでも思ってるのか?とっとと帰れ!!」













・・・あぁぁぁ・・・うぅぅぅ・・・ぁぁぁああ!!!

最悪だ!最低だ!

最悪最低な厄日だぁぁぁぁ!!!

バイトの面接行くの忘れるなんてぇぇぇ!!!

それもコレも全て・・・全て、あの性格クソクソで糞まみれな糞野郎のせいだぁぁぁ!!!

アイツのせいで私は心も身体もズダボロ・・・

挙げ句の果てに、あの糞野郎の言いなりになってしまうなんて・・・思い出しただけでもイライラがぁぁぁぁ!!!

・・・っと、ダメよ!ダメよ!香里奈!

あんな糞野郎に心をかき乱されては!

例えあいつがこの街を支配しているからと言って、毎日顔を合わせる訳じゃない!

もう二度顔を合わせない糞野郎の事なんかで頭をいっぱいいっぱいにしちゃあダメよ!

明日から楽しい楽しい高校生活が始まるの!

様々で色とりどりな女の子達が私を待っているの!

はぁ〜〜〜早く明日に何ないかなぁ〜

っと、その前にバイトも早く申し込まなきゃ!

申し込まなきゃ家に強制送還されちゃう!

そんな事を考えながら家があるマンションへと帰って行く。

「ただいま〜!って誰も居ないけど────」

「遅かったじゃねーか、ヘンタイ・シシオザル」

・・・・・・ぇ?

「なんだぁ?河原で1人黄昏てたのかぁ?」

「いや、また女性の方を視姦していたのでしょう?」

「な・・・ななな・・・なんで!?なんでアンタ達がここに居るのよ!?」

帰えるとそこには糞野郎こと東雲暁と水無月泉さんが居た。

まるで自分達の家だと言わんばかりな顔で居た。

「何故か?俺の情報網を甘く見るなよ?お前の現住所を調べる事など己の腕を動かすかの如く簡単な事よ」

「な!?個人情報ダダ漏れ!?って、コレは歴とした犯罪よ!警察呼ぶわ!」

「呼んでもいいが、無駄だと思うぜ?何故なら、警察も俺の手駒だからさ」

「そうですね、警察が来たところで逆に貴方が公務執行妨害で逮捕されちゃいますよ」

なっ!?コ・・・コイツ!悪びれもなく手駒とか言いやがった!?

「・・・っと、話が逸れてしまった。何故俺がお前のようなヘンタイの巣窟に居るかだったな・・・単刀直入に言ってやる、お前を信用してないからだ」

「は?信用?」

「あぁ、そうだ。お前が俺の事を誰かに喋ってないか、ネットに拡散してないか等を監視する為だ」

「監視って・・・私喋んないもん!お喋りじゃないもん!」

「お前は猿を信用するか?しないだろ?いや、どこの世界に猿を信用する輩がいる?俺にとっては泉以外の生き物の戯言など信用する価値すら無い」

猿って・・・戯言って・・・価値無いって・・・どんだけ暴言吐くんだこの人!?

「故に、今後お前は俺の監視対象だ。いついかなる時でも心休まると思うな」

「いついかなる時って・・・変態よ!女子の家に住むだなんて!」

「変態だぁ?どこの世界に猿の私生活や裸見て興奮する奴がいるんだ!俺が興奮するのは泉の裸だけだ!」

「暁・・・///」

あっ!また勝手にイチャつき始めた!

許さない!許さない!私の目の前で水無月さんのような美人が男とイチャつくなど断じて許さない!

「まぁ、安心しろ。俺も鬼じゃない、家賃と食費は俺が払ってやる」

「えっ?良いの?」

えっ?やだ東雲さん、マジイケメン!・・・って、違う違う!何つけ込まれてるのよ!

確かに、確かにバイトしてないから家賃とか食費とかどうしようかなと思ってたけど・・・

こんな奴に!こんな奴に!金を貰うだなんて私のプライドが許さないのよ!

「暁、食費ではなく餌代が正しい言い方じゃない?」

水無月さん?貴女も大概ですよ?

「そうだな。お前は今日から俺達のペットだ。金持ちのペットはだいたい猿だろう?ほら、お手だ」

コイツ、本当に私を馬鹿にしてる!・・・ん?いつにかなる時も?

「ふふふ、残念でしたぁ〜!私、明日から高校生活が始まるんですぅ〜!いついかなる時じゃありません〜!」

そうそう、家は・・・まぁ、この際置いとくとしてだ・・・学校は学び場

いくらコイツの力が増大であろうが、関係無い神聖な場所なのだ!

「あぁ、そうだったな。確かお前の行く高校は青蘭学園・・・とても運が良いな」

「そうよ、私は運が良いのよ。だから、アンタとは一緒じゃない────」

そう私が言い終わる前に東雲がある制服を見せてきた。

・・・あれ?この服に付いてる校章、どこか見覚えがあるな

青色の花・・・この花は確か蘭だった気が・・・

・・・え?ちょっと待って?あれ?

青色の蘭の校章?

「・・・って、まさか!?」

「そう、そのまさかだ。俺も明日から青蘭学園の生徒なんだよ」

「え・・・えぇぇぇ!!!なっ・・・なんでぇ!?運が良いなとか言ったじゃん!!」

「あぁ、そうだ。俺自身が運が良いなと言ったんだ」

そんな事ある!?そんな偶然ある!?

「つーことでだ、コレからよろしくな?加藤さん」

「よろしくお願いします、加藤さん」

「え?・・・いや・・・その・・・あの・・・よ・・・よろしく・・・お願い・・・いたします?」

よろしくなんて出来る訳無いよぉぉぉぉぉ!!!


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