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愛情スパイス 美味しいご飯が食べたくて

いつもと同じレシピで同じ材料なのに、なにか味が違うことがある。

いつも私がよく行くカレーやさん。
でも今日はなんだか味が違うような気がする。
なにかが足りない。
なにかのスパイスが足りない。
シェフの顔を見ると、いつもはニコニコしているのに今日はどことなく機嫌が悪そう。
黙々とキッチンに向かっている。
なにか面白くないことでもあったのだろうか?
それともなにか心配事でもあるのだろうか?
今日のカレーは、なんだかそんな味がした。

仲間と一緒に外で食べるご飯は美味しい。
公園の中にある小さなカフェレストランにはオープンテラスがある。
パラソル付きのテーブルが外に並び、暑くもなく寒くもなく今の季節がちょうどいい。
障害のある人の就労支援施設のこのカフェレストランは、多くの人がそれぞれの持ち場で働いている。
カレー スパゲッティー ハンバーグ サンドイッチ ピラフと、メニューはごくごく普通で、なんたって作っている人達が好きそうな品々。
とびっきり美味しいというわけではないものの、一生懸命ひとつひとつ丁寧に作って持って来てくれる姿に、なんだか美味しく感じてしまう。

「イチゴパフェが食べたい!」仲間のひとりが食後に言う。
ここの野菜や果物もまた就労支援の畑で作られたもの。
イチゴが育つのを赤くなるまで大切に見守ってきたのだろう。
「イチゴはこれでもう最後なんです」と見習いスタッフのバッチをつけた可愛らしい子が言う。
もう皆、お腹はいっぱいだったのだけれど「うん、食べよっか!」
ダイエットという言葉が存在しない幸せの時。

教会で食事を作っている友達がいる。
彼女の作るパンやケーキは素朴ながらも美味しい。
最近はほとんどが材料費で、儲けは無いのだと笑って話す彼女。
お土産に持って来てくれた、あんぱんやバナナケーキがあまりにも美味しくて、私はついつい2個目に手が出てしまう。
そんな彼女はいつも、今ある食べ物に感謝をして食べているような気がする。
美味しかった!お腹がいっぱい!満足、満足!私とはどこか違うのだと思う。

さて今日も夕食の支度をしよう。
我が家のキッチンにはたくさんのスパイスが並んでいる。
冷蔵庫にも開封された様々な調味料が入っている。

どんなお料理だって最後に愛情スパイスをパラパラ振りかけると、とびっきり美味しくなる。
ただしこの愛情スパイス、消費期限がめちゃくちゃ短い。
どうやらパートナーの美味しいのひと言が必要のようなのだが。

今日も美味しいご飯が食べられる幸せに、いただきます。


お茶にしましょう
イチゴはそろそろ終わり
今年のイチゴパフェの思い出
残しておこう

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