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消える昼の買い、「円安」に

外国為替市場で再び円安が進んでいる。日銀が19日に最大の円安要因とされたマイナス金利政策を解除したにもかかわらず、1ドル=151円台まで円安・ドル高が進んだ。

円買い需要が出やすいとされる東京時間(午前9時〜午後5時)の取引でさえ、4年連続で円売りが優勢との興味深い記事があったので取り上げる。

日経新聞の図引用

要約文

この記事は、日本の外国為替市場における最近の円安の進行に焦点を当てています。日本銀行がマイナス金利政策を解除したにも関わらず、円安が進行しており、特に東京時間中の円売りが優勢となっていることを指摘しています。主な理由としては、日本企業が海外で稼いだ利益を国内に戻さず、海外の内部留保を増やしていることが挙げられています。これにより、通常、年度末に見られる円買い需要が減少しています。記事はまた、この状況の背景にある様々な要因、例えば企業による外貨の管理方法の変化や、海外利益の国内への還流促進を目的とした政策の可能性などについても触れています。最終的に、日本企業の海外での利益を国内に戻すインセンティブを高めるための政策的な取り組みが必要であると結論付けています。

財務相、円安に「高い緊張感」

鈴木俊一財務相は、外国為替市場での円安進行について「高い緊張感を持って注視していく」と述べました。これは、日銀がマイナス金利政策を解除した後の円安が進行している状況に対するコメントです。円の価値は1ドル=151円台後半に下落し、2022年10月21日の円買い介入の際の水準に近づいています。鈴木氏は、為替相場が経済の基礎的条件を反映して安定して推移することの重要性を指摘しましたが、為替介入の可能性についてはコメントを避けました。政府と日銀は過去に5兆6000億円規模の円買い介入を実施しており、市場はそのような措置の再実施に注目しています。

日銀利上げも円安、一時151円台後半

日本銀行(日銀)がマイナス金利政策を解除しても、円安が止まらず、一時1ドル=151円台後半に下落しました。この水準は2022年に記録した1990年以来の安値に近づいており、市場では為替介入に対する警戒感が高まっています。日銀の政策決定後、円相場は2円以上下落し、ユーロやポンドに対しても円安が進んでいます。日銀の政策金利は0〜0.1%と低く、海外との金利差が拡大していることが円安を加速させています。市場では、円売りポジションが一時縮小した後、再び拡大する動きがあり、為替介入の可能性が意識されています。

日経新聞の図引用

円安、円高のメリデメ

円高や円安は経済に様々な影響を与えます。そのメリットとデメリットを簡単に説明します。

### 円高のメリット:
1. **輸入品の価格低下**: 円高は輸入品の価格を安くします。これは、石油や食品などの輸入コストが下がるため、消費者の負担軽減につながります。
2. **物価の安定**: 輸入品価格の低下は物価の安定に貢献します。インフレ抑制の効果があるとされます。
3. **海外旅行や投資のコスト減**: 海外への旅行や投資が相対的に安くなります。円高は海外での買い物や投資に有利です。

### 円高のデメリット:
1. **輸出企業の利益減少**: 輸出価格が相対的に高くなり、海外市場での競争力が低下します。これにより、輸出企業の収益性が悪化する可能性があります。
2. **経済成長の鈍化**: 輸出が減少すると、それに伴い経済全体の成長が鈍化する恐れがあります。
3. **デフレ圧力の増加**: 物価が安定することは良いことですが、デフレに陥るリスクもあります。物価が下がり続けると、消費や投資が抑制され、経済活動が停滞する可能性があります。

### 円安のメリット:
1. **輸出企業の競争力向上**: 円安は日本製品を海外市場で価格競争力のあるものにします。これにより、輸出企業の売上と利益が増加することが期待されます。
2. **経済成長の促進**: 輸出の増加は生産活動を刺激し、雇用を創出し、経済成長を促進します。
3. **企業の収益改善**: 海外で稼いだ利益を円に換算すると、収益が増えます。これは特に海外市場で大きく展開する企業にとって有利です。

### 円安のデメリット:
1. **輸入コストの増加**: 輸入品の価格が上がり、原材料やエネルギーコストが増加します。これは製造業をはじめとする産業にコスト圧力をかけます。
2. **物価の上昇(インフレ)**: 輸入品価格の上昇は消費者物価に反映され、インフレ圧力を高める可能性があります。
3. **生活コストの増加**: 日用品やエネルギーの価格上昇は、消費者の生活コストを上げます。特に低所得者層にとって負担が大きくなります。

所感

社会全体で円安を否定的に捉える風潮がありますが、私はそう思いません。円安にもメリットがあり、それは立場や視点によって変わります。政府は円高を好む傾向にあるかもしれませんが、すべての国民や企業がその立場を共有しているわけではありません。

例えば、私の会社は海外事業にそれほど依存していないので、円安の影響は限定的です。また銀行業務もやっているが、銀行のように金融の動きに敏感な業界では、円安が金利にプラスの影響を与え、短期的には利益を増やす可能性があります。この点から、円安が望ましい場合もあると考えられます。

政府の立場

政府が円安を嫌う理由は、主に以下の点に関連しています:

1. **輸入コストの増加**: 円安は輸入品の価格を上昇させます。日本はエネルギー資源をはじめ多くの生活必需品や原材料を輸入に頼っているため、コスト増加は企業の利益圧迫や物価上昇に直結します。

2. **物価上昇(インフレ)の懸念**: 輸入品の価格上昇は消費者物価にも反映され、インフレを引き起こす可能性があります。日本のようにデフレが長期間続いた国では、適度なインフレは経済に活力を与えることが期待されますが、急激な物価上昇は家計に負担をかけ、消費を抑制する恐れがあります。

3. **国際的なバランスの問題**: 政府は国内経済だけでなく、国際的な貿易や財政バランスにも注目しています。円安は短期的には輸出企業の競争力を高めるかもしれませんが、長期的には過度な通貨安が国際貿易や投資フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

4. **国民生活への影響**: 円安が進むと、輸入食品やエネルギーなどの価格が上昇し、生活費が増加します。これは特に低所得者層にとって大きな打撃となり、社会的な不平等を拡大させる恐れがあります。

5. **国際信用の問題**: 長期にわたる円安は、国際市場での日本円の信用低下を招きかねません。これにより、国際的な資本移動が不利になるだけでなく、国際的な金融市場での日本の影響力が低下する可能性があります。

以上のような理由から、政府は一般的に円安を嫌う傾向にありますが、状況に応じて政策の方向性は変わります。経済の多様な側面を考慮して、適切な通貨価値を維持しようと努めています。

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