見出し画像

楽天G、社債借り換え1500億円

楽天グループは25日、新たな資金調達策を発表した。11月に満期を迎える社債を対象に上限10億ドル(約1470億円)の公開買い付けを2月にかけて実施し、満期が3年の社債を別途発行するとのこと。

要約文

楽天グループは、2024年と2025年に約8000億円の社債償還を控えており、これに対処するための新たな資金調達策を発表しました。具体的には、2022年11月と2023年1月に発行された合計9億5千万ドルの米ドル建て社債と、2019年11月に発行された8億ドルの米ドル建て社債を公開買い付けで早期に買い取る計画です。これらの社債はいずれも2024年11月に満期を迎えます。

楽天はこれに加えて、3年の満期を持つ新たなドル建て社債を発行する計画を発表しました。この発行は、S&Pグローバルによって「ダブルB」の投機的水準の格付けを受けています。発行規模は10億ドル程度と見られ、市場では利回りが10〜13%になると予想されています。楽天は、社債の早期買い取りに際しては3%のプレミアムを支払います。

この動きは、社債償還を実質的に先送りすることにより、楽天の有利子負債残高の削減とバランスシートの管理を目指すものです。楽天は携帯事業への投資により膨らんだ負債の返済を急いでおり、2024年と2025年にそれぞれ約3200億円と約4700億円の償還が迫っています。

この資金調達策の発表により、楽天の株価は上昇し、携帯事業の進捗も株価上昇の背景と見られています。楽天は、2024年には携帯事業が黒字化することを目標としており、そのための新規顧客獲得に注力しています。

ダブルBの格付けとは?

米格付け大手のS&Pグローバルによる「ダブルB」格付けは、社債が投機的水準(非投資適格)に位置づけられることを意味します。これにはいくつかの重要な意味があります:

1. **信用リスクの評価**:「ダブルB」格付けは、債券がデフォルト(債務不履行)リスクがある程度高いと評価されていることを示します。投資適格債(BBB-以上)と比べると、より高いリスクを持つと見なされます。

2. **投資家の対象範囲**:この格付けにより、特定の機関投資家(例えば、一定の信用格付け以上の投資しか行わない年金基金や保険会社)はこれらの社債を購入できない可能性があります。これは、投資適格債券のみを取り扱うポリシーを持つ投資家にはアクセスが限られることを意味します。

3. **高い利回りの可能性**:一般に、高い信用リスクを持つ社債は、投資家にそのリスクを補うためにより高い利回りを提供する必要があります。したがって、「ダブルB」格付けの社債は、より高い利息を提供することが一般的です。

4. **市場の認識**:投機的格付けは、企業が直面している財務的な挑戦や不確実性を市場に示すものです。投資家はこのような格付けを受けた社債を扱う際に、より慎重にリスクを評価することになります。

楽天の場合、この「ダブルB」格付けは、彼らの社債が一定のリスクを伴うが、それに見合う可能性のある高いリターンを提供する可能性があることを示しています。投資家は、リターンの機会とリスクのバランスを慎重に評価する必要があります。

ダブルBの理由

楽天グループの社債が「ダブルB」の評価を受けた理由には、いくつかの要因が考えられます:

1. **高い負債レベル**:楽天が過去に携帯事業への大規模な投資を行ったことで、その負債レベルが高まっています。高い負債は、デフォルトリスクを高め、格付けを下げる要因となり得ます。

2. **収益性とキャッシュフローの不確実性**:楽天の携帯事業は、予想よりも黒字化が遅れているとされ、これが収益性とキャッシュフローの不確実性を高めています。予想される収益が不安定である場合、投資家はより高いリスクを感じ、格付け機関もこれを反映します。

3. **市場環境と競争**:携帯市場は競争が激しく、新規参入者が市場シェアを確保するのは難しいです。楽天がこの競争の中でどれだけ成功するかは未知数であり、この不確実性が格付けに影響を与える可能性があります。

4. **資金繰りと再融資のリスク**:楽天は巨額の社債を再融資し、将来的な債務償還計画を先送りしています。このような資金繰りの方法は、短期的には財務圧力を軽減しますが、長期的には追加の財務リスクを生み出す可能性があります。

これらの要因は、楽天の財務状態と将来の収益性に関して市場や格付け機関が持つ懸念を反映しています。したがって、「ダブルB」格付けは、これらのリスクを総合的に評価した結果と言えます。

楽天社債に海外勢が熱視線

楽天グループの社債価格が回復し、海外投資家が注目しています。米国の低格付け債市場が好調で、特に円建て社債が割安と見なされています。楽天社債の価格上昇は、様々な投資家にとって利益となっています。ただし、楽天の財務に関する懸念は完全には解消されておらず、借り換えを含む資金確保の必要性があります。2月14日に予定されている決算発表が楽天社債への追い風となるかが注目されています。

楽天、出店者サポートにAI活用

楽天グループは、ECモール「楽天市場」の出店者向けにAIを活用した運営サポートサービスを導入する予定です。このサービスは、商品の説明文作成や顧客からの問い合わせ対応に使用され、出店企業の業務効率化を目指します。三木谷浩史会長兼社長は、楽天が国内EC事業の流通総額を2030年までに10兆円に伸ばす目標を設定しており、その達成にはAIの活用が不可欠だと強調しました。また、楽天市場の出店料を引き上げる方針も発表されましたが、具体的な時期や価格は未定です。AIなど最新技術への投資とエネルギー費用の上昇が背景にあるとみられます。

楽天G、国内外で「稼ぐ環境」整う 三木谷氏は自信

楽天グループは、海外での事業拡大に力を入れています。特にドイツでの「1&1」サービス開始は、同社にとって重要なステップで、楽天シンフォニーの技術が採用されています。三木谷浩史会長兼社長は、この新しい事業による収益の増加を期待しています。また、楽天モバイルの国内事業も順調に進んでおり、新規契約者の獲得が続いています。楽天は、国内外での収益化を進める一方で、巨額の社債償還に向けて収益を上げることに注力している状況です。

楽天モバイル、携帯キャリアサービスの契約数が600万回線を突破

楽天モバイル株式会社は、2023年12月26日(火)に携帯キャリアサービスの契約数が600万回線を突破したとのこと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?