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韓国で医療危機

韓国政府が地方の医師不足解消のため打ち出した大学医学部の定員増方針を巡り、反発する研修医8000人以上が集団で辞表を提出した。手術のキャンセルや入院の延期が相次ぐなど市民生活に支障が出始めたとのこと。

日本でも同様の問題が起きる可能性がある。なぜなら日本も韓国と同程度の医師しか存在しないからだ。

日経新聞の図引用

研修医8千人辞表 医学部定員増に反発

韓国で、地方の医師不足を解消するために政府が提案した医学部の定員増加計画に反対する8000人以上の研修医が集団で辞表を提出し、手術のキャンセルや入院の延期など市民生活に支障をきたしています。政府は2025年度から医学部の定員を2000人増やす計画で、これに対し医療界からは医療の質の低下や医師の待遇改善の必要性を訴える強い反発があります。研修医の退職届はまだ受理されておらず、政府は早期解決を目指し、強制捜査を含む強硬策を検討しています。一方、医師不足は顕著で、OECD平均を下回る医師数と診療科ごとの医師数の偏在が課題となっています。韓国政府は緊急措置として遠隔診療の利用や公立病院での手術、軍の診療所の開放を命じていますが、事態が長引く可能性も指摘されています。

日本の医療問題

日本でも、医師の過剰供給や医師不足、そして医学部定員に関する問題は過去に議論されてきました。特に、医師不足の解消を目指して医学部の定員を増やす動きはあるものの、その影響については賛否両論があります。

日本で特に顕著だったのは、地方における医師不足と、一部の専門分野における医師の偏在です。地方では医師が足りず、患者が適切な医療を受けられない状況が長年問題となっています。一方で、大都市部や収益性の高い専門分野では医師が集中しています。

日本では2000年代に入ってから、医師不足を解消するために医学部の定員を増やす措置が取られました。しかし、医学部定員の増加は医師の地域間・専門間の偏在を解消するだけでなく、将来的には医師の過剰供給につながる恐れも指摘されています。実際に、医学部定員を増やすことで、新たな医師が増える一方で、医師を適切に配置し、適切な待遇を保証するシステムの構築が必要とされています。

また、日本では医師の働き方改革も大きな課題となっており、長時間労働の是正や労働環境の改善が求められています。このように、医学部定員の問題は、単に医師の数を増やすことだけではなく、医師の質の保持、医療提供体制の整備、医師の働き方改革といった複数の側面を含む複雑な問題です。

韓国で現在起きている問題は、医師の供給量の管理、医師の質と待遇、そして医療提供体制全体のバランスをどう取るかという点で、日本が直面した問題と共通しています。各国が取り組むべき課題は、医師の適切な配置、医療質の維持向上、そして医師と患者双方にとってより良い医療環境の実現にあります。

日本の医療問題に対するアプローチ

日本で医師不足や医学部定員問題に対処するために取られた処置は、以下のような多面的なアプローチを含みます:

1. **医学部定員の増加**:
  - 2000年代初頭から、医師不足の解消を目指して、国は医学部の定員を段階的に増やす方針を採りました。この措置は、特に地方や一部専門分野での医師不足を緩和することを目的としています。

2. **医師の地域偏在対策**:
  - 地方での医師不足に対応するため、地域医療貢献団体の設立や、地方自治体が運営する地域医療貢献奨学金の提供が行われています。これらの奨学金を受け取った医学生は、卒業後に特定の地方や専門分野での勤務を義務付けられます。
 
3. **働き方改革の推進**:
  - 医師の長時間労働是正と労働環境の改善を目的とした働き方改革が進められています。これには、時間外労働の上限設定や、医師の健康管理の徹底が含まれます。

4. **専門医制度の改革**:
  - 医師の専門性を高めるために、専門医制度の見直しが行われています。これにより、各専門分野での医師の質の向上と適切な配置が図られています。

5. **医療機関の機能分担の明確化**:
  - 地域における医療機関間での機能分担を明確にし、連携を促進することで、患者が適切な医療を受けられる体制を整備しています。

6. **遠隔医療の推進**:
  - 地方や離島での医師不足を補う一環として、遠隔医療の導入が進められています。これにより、遠隔地の患者も専門医の診察を受けられるようになります。

これらの処置は、単に医師の数を増やすだけではなく、医師の質の保持、医療提供体制の整備、医師の働き方改革といった複数の側面から医療体制全体の改善を目指しています。ただし、これらの施策が完全に問題を解決したわけではなく、地方の医師不足や医師の働き方など、依然として解決すべき課題が残っています。

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