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ミスター円

ミスター円こと、榊原英資(えいすけ)が2024年の円相場を予想した記事があったので取り上げる。
※筆者はミスター円という言葉を聞いたことありませんでした。

要約文

この記事は、円相場の現状と今後の見通しについて、元大蔵省財務官で「ミスター円」と呼ばれる榊原英資氏の考えを紹介しています。

円は2023年に3年連続で対ドルで下落し、その背景には米国の急速な利上げと日本銀行の緩和的金融政策の違いがあると述べています。円安の原因は日本経済への不安ではなく、日米金利差の拡大にあると指摘しています。

榊原氏は2024年には円高が進むと見ており、米国の成長率が1%前後に落ち込む一方で日本は1%台後半の成長を予想しています。また、円高は日本経済にとってプラスであり、日本企業の拠点分散や輸出依存度の低下がその理由としています。政治の不安定さが円売りにつながる可能性は低いとの見解も示しています。

2024年のアメリカの成長率の予想

2024年にアメリカの経済成長率が1%前後に落ち込むと予想される理由は以下の通りです:

1. **成長の減速への移行**:2023年に強い成長を遂げた後(3四半期の実質GDP年率3.0%成長)、経済需要が緩和されると予想されます。これにより、2024年の成長率は約2%になると予測されています。この減速には、求人の減少、貸し付け基準の引き締め、消費支出の成長の鈍化などが寄与すると見られます。

2. **高金利の影響**:高金利が続くと、資本支出に影響を与え、中小企業の倒産リスクが高まる可能性があります。一部のセクターでの支出増加があるものの、全体としては高金利が経済活動を減速させることが予想されます。

3. **世界経済の低迷と貿易動向**:強いドルと世界経済の低迷が、米国の国際貿易に影響を与えると見られています。これには、政治的対立による連邦政府支出の制約や、遅れる米国経済に合わせた州と地方の支出削減が含まれます。

4. **インフレと金融政策の効果**:連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする2%を上回るインフレは、より厳格な金融政策により下降傾向にあります。これらの政策は、商品やサービスへの需要の成長を遅らせ、供給と需要のバランスを取るのに役立ちます。

5. **労働市場と生産性の傾向**:労働力はほんのわずかに増加する一方で、生産性の向上が経済成長を支えると予想されています。非農業部門では労働生産性が増加しており、これが総供給を増加させる助けとなっています。

これらの要因が、2024年のアメリカ経済の成長率が遅くなると予想される理由の一部です。

利下げの予想

2024年にアメリカが利下げする可能性はあるとされています。いくつかの報告によると、連邦準備制度(Fed)※は、インフレが抑制されつつある兆しに基づいて、既に利上げを終了し、2024年には利下げが行われる可能性があると示唆しています。Fedは2024年に3回の利下げを行うとの予測も示しており、これは米国経済がインフレを抑え、不況や失業率の急激な上昇なしに済むことを期待させる兆候です。ただし、Fedの政策金利は現在5.25%から5.5%の間で設定されており、2024年末までには0.5%から1.0%の範囲で下がると予想されています。ただし、Fedはインフレが2%の目標に持続的に向かっていることを確認する必要があります。

※ 連邦準備制度(Federal Reserve System、通称「Fed」)

アメリカ合衆国の中央銀行システムです。このシステムは、国に安全で柔軟性があり、安定した金融および貨幣システムを提供するために設計されています。Fedの主な役割は、米国経済の健全性と米国金融システムの安定性を促進するための5つの主要な機能を果たすことです。これには、米国の金融政策を設定すること、金融システムの安定性を促進すること、金融機関と活動を監督・規制すること、決済システムの安全性と効率を促進すること、および消費者保護とコミュニティ開発を促進することが含まれます。Fedは、理事会、12の連邦準備銀行、および連邦公開市場委員会という3つの主要なエンティティで構成されています。

感想

ミスター円の主張は非常に興味深いです。彼は、円高が日本経済にとってプラスであるとし、日本企業の拠点分散や輸出依存度の低下がその理由であるとしています。私は、短期的に見ればこの主張は正しいと思いますが、長期的な視点では当てはまらないと考えています。なぜなら、今後はインバウンドの拡大が必要になるためです。円高になると、インバウンドの数が減る恐れがあり、適度な円安の方が望ましいと考えられます。また、この主張が正しいと信じるのであれば、現在ドルを売ることが良い選択かもしれません。実際には行わないが、今後の経済の動向に注目したいと思います。

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